研究課題/領域番号 |
26460190
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
関根 秀一 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (70401007)
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研究分担者 |
伊藤 晃成 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (30323405)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 薬剤性肝障害 / ミトコンドリア / 胆汁鬱滞 |
研究実績の概要 |
ヒトで発現した薬剤性肝障害(DILI)をラット等の実験動物で再現させるのは困難であるためDILI発症機序に関わるリスク因子の多くが不明である。炎症性物質のリポ多糖(LPS)を前投与したラットにDILI誘発薬物を投与するとDILI様の症状が観察されることが報告されている。LPS投与群において低濃度Ca2+によるミトコンドリアの膜透過性遷移(MPT)の感受性が上昇していたことが観察され、ミトコンドリアのDILI増悪メカニズムへの関与が示唆された。この時ComplexⅠ~Ⅳの活性を評価したところLPS投与群においてComplexⅡの活性が有意に減少していた。その一方でComplexⅡを介したミトコンドリア呼吸活性の亢進が見られた。これらLPSによる影響はいずれもヘパリンを併用時には見られなかった。またLPS投与時に単離ミトコンドリアにおけるTBARS生成量が有意に上昇していた。これらの結果から、LPS投与によりミトコンドリア内でComplexⅡを介した呼吸の際に、電子伝達系からROSが発生し、そこから酸化ストレスが生じた結果、MPTの感受性の上昇につながったことが示唆された。本研究からLPSの前投与によるDILI誘発薬物のDILI増悪メカニズムにミトコンドリア機能変化が関与することが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラットIn vivoにおいて複合的な毒性メカニズムでおきるDILIを再現することに成功している。現在、Cyclophilin Dノックアウトマウスを繁殖している段階であり、当初、平成28年度計画していたCyclophilin Dノックアウトマウスにおける検討を予定通り行える状況が整いつつある。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、Cyclophilin Dノックアウトマウスにおいて、複合的な毒性メカニズムでおきるDILIがミトコンドリアに起因することを明らかとしていくことで、Cyclophilin DがDILI発現の要因となることを明らかとするとともに、ヒト肝細胞におけるCyclophilin Dの発現量の定量を行うことで、DILIの感受性の個人差を生み出す要因を明らかとしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計計画を見直すことにより効率的に経費を支出することができた。またCyclophilin Dノックアウトマウスを米国ジャクソン研究所より購入することで当初予定していた価格よりも安価に購入できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定より大きく研究が進展しているため、次年度においてはIn vitroの実験も計画の中に含める。そのため、細胞培養用のインキュベータの購入を計画している。
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