研究課題
昨年度までに、潰瘍性大腸炎モデルラットにおいて免疫抑制薬タクロリムスの経口吸収が増加することが明らかとなり、その機構の一部に小腸粘膜に発現するP-糖タンパク質(P-gp)の発現量の減少が関与する可能性を示唆した。さらに、潰瘍性大腸炎モデルラットにおける小腸のマイクロRNA(miRNA)発現量をマイクロアレイ及びin silicoにより解析した結果、発現上昇が認められたmiR-494がMDR1 mRNA の3’-非翻訳領域に相補的配列を有していた。本年度では、miR-494によるP-gpの発現調節機構について検討を行った。miR-494阻害剤及び前駆体をCaco-2細胞に導入後、P-gpのタンパク発現量及びmRNA発現量の変動を検討したが、変化は認められず、P-gpの発現調節におけるmiR-494の寄与は小さいことが示唆された。一方で、P-gpの転写調節には、核内受容体であるPXRおよびVDRが関与することが報告されており、潰瘍性大腸炎モデルラットでのP-gpの発現低下機構におけるPXR及びVDRの役割についてさらに検討を行ったが、PXR及びVDR mRNA発現量に有意な変動は認められなかった。潰瘍性大腸炎患者における腸管のP-gp発現量低下には、PXR非依存的な調節因子が関与していることが報告されていることからも、潰瘍性大腸炎モデルラットでのP-gp発現量低下にはPXR及びVDRを介した転写調節の寄与は少なく、別の調節因子が関与している可能性が考えられた。
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Cancer Chemotherapy and Pharmacology
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1007/s00280-017-3296-7
Drug Metabolism and Disposition
巻: 44 ページ: 1543-1549
10.1124/dmd.116.070722