研究課題/領域番号 |
26460196
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
奥田 真弘 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (70252426)
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研究分担者 |
岩本 卓也 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (30447867)
池村 健治 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (70513935)
村木 優一 三重大学, 医学部附属病院, 副薬剤部長 (50571452)
伊佐地 秀司 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70176121)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | マイクロRNA / 免役抑制薬 / P-糖タンパク質 / CYP3A / PXR |
研究実績の概要 |
免疫抑制薬であるカルシニューリン阻害薬は臓器移植患者の術後管理を担うキードラッグであるが、体内動態の個体内・個体間変動が大きく血中濃度に基づいた綿密な投与設計が行われる。これら薬物の体内動態制御を担うシトクロムP450(CYP)3A4 やCYP3A5、P-糖タンパク質(ABCB1)の発現量には既知の遺伝子多型では説明できない個人差や、タンパク質発現量とmRNA 量の間にしばしば乖離が認められるため、転写後調節におけるマイクロRNA(miRNA)の関与が注目されている。本研究では、免疫抑制薬の体内動態の個体内・個体間変動におけるmiRNAの役割を明らかにするため、CYP3A4, CYP3A5及びABCB1遺伝子におけるmiRNAの結合部位である3’-非翻訳領域(3’-UTR)に存在する遺伝子多型について調査した。これら遺伝子の3’-UTRには多数の遺伝子多型が存在することが明らかになったが、アレル頻度が低く、免疫抑制薬の体内動態の個人差の原因となる可能性は極めて低いと考えられた。一方で、CYP3A4及びABCB1の発現調節に関わる核内受容体PXR(NR1I2)の3’-UTRには、アレル頻度の高いSNPが存在し、この配列に結合するmiRNAをin silico法により解析した結果、4種類のmiRNAが作用する可能性を見出した。次に、ヒト肝癌由来のHepG2細胞に対して最も結合能の高かったmiR-328-3pを作用させたが、PXRの発現量に変動は認められず、miR-328-3pはPXRの発現調節に及ぼす影響は少ない可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までの研究計画では、ドナー肝の切除標本を用い、薬物動態制御タンパク質の発現量とmiRNA発現量の相関解析を行い、関連性の高いmiRNAの同定までを予定していた。実際には、平成27年度以降に実施予定の3’-UTRに存在する遺伝子多型がタンパク質の発現変動に及ぼす影響についての検討まで進行している。
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今後の研究の推進方策 |
HepG2細胞を用い、in silico解析により特定したmiRNAがPXRの発現量に及ぼす影響について検討する。さらに、ヒト胎児腎由来のHEK293 細胞にluciferase 遺伝子の下流にPXRの3'-非翻訳領域の配列を導入したluciferase reporter vectorとmiRNA mimicをダブルトランスフェクションし、同定したmiRNA による発現調節機構を明らかにする。さらに、ドナー肝の切除標本におけるPXR発現量と同定したmiRNA発現量の相関性について評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度に、ドナー肝の切除標本における薬物動態制御タンパク質のmRNA及びタンパク発現量とmiRNA発現量の測定を予定していたが、in vitroの検討を先行させた為、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
このため、mRNA及びタンパク発現量とmiRNA発現量の測定は次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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