消化管の機能制御に深く関わっているセロトニン(5-HT)は、過敏性腸症候群などの重篤な消化器疾患との関わりも深い。5-HTの欠乏が有機アニオン系薬物の経口吸収性に及ぼす影響を検討した結果、その経口吸収挙動への影響には、低投与量時には有意な吸収性の低下が、高投与量時には、吸収性の増大傾向が認められた。その要因としては、Mrp2、BCRP等の発現誘導による消化管内への分泌の増大とその飽和、および受動拡散による吸収性の変動が関与しているものと考えられた。また、5-HT枯渇により、消化管上部では移行性の上昇が、下部では低下が認められ、消化管運動性の上部から下部への連動性が失われていることが示唆された。
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