抗がん剤の耐性機序としては、がん細胞の薬剤排出の亢進、増殖因子などによる生存シグナルの活性化など様々な因子の関与が知られている。また、腫瘍中にがん幹細胞が存在することが判明しており、その特徴として、P-糖タンパク質やBCRPといったABCトランスポーターが過剰発現していることが知られている。これらの発現は、がんが多剤耐性を示す原因の1つでもある。近年、新しい治療薬や治療法が開発され、次々とがん分子標的薬剤が登場し脚光を浴びているが、これらの薬剤に対しても耐性を示す腫瘍が出現し治療の障害となっている。患者に適切な医療を提供するためにさらに科学的な根拠に基づいた業務・研究を行う必要がある。
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