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2014 年度 実施状況報告書

非攪拌水層の分子メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 26460208
研究機関東京薬科大学

研究代表者

岸本 久直  東京薬科大学, 薬学部, 助手 (80723600)

研究分担者 井上 勝央  東京薬科大学, 薬学部, 教授 (50315892)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード非攪拌水層 / 一酸化窒素 / 吸収促進剤 / mucin
研究実績の概要

本年度は、経細胞輸送を介した薬物の消化管吸収に及ぼす一酸化窒素(NO)の影響について詳細な検討を行った。NO供与体であるNOC7を用い、NOC7前処理時における薬物の吸収量の変化についてラット摘出腸管(十二指腸部)を用いたin vitro Sac法により検討したところ、脂溶性薬物であるgriseofulvin (log P = 2.18) 及びdiclofenac (log P = 1.13) の粘膜透過量はNOC7の濃度依存的に有意に上昇した。一方で、水溶性薬物であるtheophylline (log P = -0.02) 及びparacellular markerとして一般的に用いられるFD-4の膜透過性に変化は認められなかった。さらにin situ closed loop法により、十二指腸部に作成したloopより投与したgriseofulvinの吸収量が、NOC7前処理時において有意に増加したことから、ラットwhole-bodyにおいてもNOC7の吸収促進効果が認められた。このNO供与体による効果を明らかにするため、脂溶性薬物の吸収制御因子として一般的に知られている非攪拌水層に対する影響を検討した。非攪拌水層の分子実体はmucinであり、mucin除去剤としてdithiothreitol (DTT)を選択し、griseofulvinの粘膜透過性に対する影響を検討したところ、十二指腸部において有意な上昇が認められた。また、十二指腸部におけるmucin除去の効果は、NOC7前処理時と同程度の効果を示し、さらに両試薬の併用による相加効果は認められなかった。これらの結果から、NOC7により放出されたNOが、DTTと同様にmucin層に対して影響を及ぼしたことによりgriseofulvinの膜透過性を上昇させたと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題における研究目的の一つである「非攪拌水層を標的とした吸収改善策としての一酸化窒素(NO)の有用性評価」に対し、重要な結果を得ることができ、本研究課題の着眼点及び展開方向の妥当性を示すことができた。また、NO供与体の吸収促進作用に関して、投稿論文を作成するための情報収集を完了したので、論文発表もできるものと考えている。従って、本研究課題の基盤となる研究成果が得られていることより、総合的に研究計画はおおむね順調に進展していると判断できる。

今後の研究の推進方策

本研究課題における研究目的の一つである「薬物吸収を制御する分子機構の解明」に関して、申請した研究計画に従って研究を進めていく予定である。また、医薬品開発において重要な情報を得られるだけでなく、消化管における薬物吸収の新たな展開の可能性も考慮しながら、柔軟な研究計画により研究を推進していく予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 経細胞輸送を介した薬物の消化管吸収に及ぼす一酸化窒素の影響2015

    • 著者名/発表者名
      宮崎 歌織、岸本 久直、瀧沢 裕輔、白坂 善之、井上 勝央
    • 学会等名
      日本薬剤学会第30年会
    • 発表場所
      長崎ブリックホール
    • 年月日
      2015-05-21 – 2015-05-23

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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