研究課題
前年度までの研究結果を受けて、糖尿病治療薬レパグリニドのヒト肝ミクロソームでの代謝活性に対するモンテルカスト(CYP2C8阻害薬)およびケトコナゾール(CYP3A4阻害薬)の影響を種々の緩衝液条件下で検討することで、レパグリニド代謝におけるCYP2C8とCYP3A4の寄与率を測定した結果、緩衝液条件により異なる値が得られた。この値を組み入れた生理学的薬物速度論(PBPK)モデルに基づいて、CYP2C8阻害薬ゲムフィブロジルとの相互作用をシミュレーションすると、CYP2C8の寄与率に依存した結果が得られたことから、相互作用の定量的予測において緩衝液条件に留意した各代謝酵素の寄与率の推定が重要であることが示唆された。また、同様に肝取り込みと肝代謝が関与するグリベンクラミドとクラリスロマイシンの相互作用について、PBPKモデルに基づく解析を行った。肝臓-肝臓外スペース間の薬物の移動には、「肝取り込みにおける能動輸送と受動拡散の比」および「取り込み方向と汲み出し方向の受動拡散の比」を組み込み、それらの値はヒト遊離肝細胞を用いたin vitro試験から求めた。各薬物単独投与時の体内動態パラメータをfitting解析により求めた後、クラリスロマイシンによるCYP3A4阻害パラメータを報告値に固定し、両薬物併用時の血中グリベンクラミド濃度推移を単独投与時と同時fittingすることで、肝取り込みの阻害定数を見積もった。その結果、クラリスロマイシン併用によるグリベンクラミド濃度の上昇は良好に再現され、肝取り込み阻害定数はin vitroでの報告値と比べて小さい値(7-80分の1程度)に見積もられた。その相違の程度は、クラリスロマイシンと同様に肝取り込みトランスポーターOATP1B1を阻害することが知られているシクロスポリンと同程度であった。
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J. Pharm. Sci.
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10.1016/j.xphs.2017.02.013.
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巻: 67 ページ: 2475-2477
巻: 67 ページ: 2478-2481