研究課題/領域番号 |
26460213
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研究機関 | 神戸薬科大学 |
研究代表者 |
江本 憲昭 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (30294218)
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研究分担者 |
辻 剛 医療法人社団神鋼会(総合医学研究センター), その他部局等, 助手 (00437493)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 肺高血圧症 / 個別化医療 / ゲノム |
研究実績の概要 |
本研究は、肺高血圧症患者の臨床データベースと遺伝子多型・変異を組み合わせることで、薬効・副作用モデルを構築し、その臨床応用を目指すことを目的としている。 本年度は、肺高血圧症患者の臨床データベースを構築し、登録数は260症例を超えた。同意を得られた症例についてゲノムDNAを抽出、保管している。これらの検体の一部を用いて予備的実験としてDMET plus solution(Affimetrix社)を用いて、薬物代謝の代謝経路に関連する231遺伝子上の1,936の遺伝子多型・変異の網羅的検出を試みた。患者群を臨床データから、治療反応群(平均肺動脈圧が10mmHg以上低下した群)、肝障害出現群(GOT/GPTが前値の3倍以上に上昇)、浮腫出現群などに分け、それらの遺伝子多型・変異と臨床データを組み合わせて、Fisher's Exact Testにより候補となる遺伝子多型を絞り込んだ。絞られた多型に対した多重ロジスティック解析を行い、薬効・副作用発現に関連する遺伝子多型・変異を複数確定した。現在、作成した予測モデルが妥当であるかどうかを検討する目的で、すでに解析した群とは異なる患者群を作成し、臨床データの収集とゲノムDNAを抽出することが進行中である。 また、ボセンタンの血中濃度を測定するためにHPLCを用いた微量検体検出プロトコールを確立した。現在、すでに網羅的解析を行った群の一部から血液検体を採取し、今後のボセンタン血中濃度の解析に用いる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に計画していた事項のうち、肺高血圧症患者のデータベースの構築、肺高血圧症患者のゲノムDNAの抽出、薬剤代謝に関与する遺伝子の多型・変異の網羅的解析、薬効・副作用モデルの構築、薬効副作用に関する遺伝子多型・変異の検出に関しては、ほぼ予定通りに達成できている。薬剤血中濃度の測定は、測定系を確立できたため、検体収集後にまとめて測定予定である。以上の理由から、研究の目的は概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
精度の高い予測モデルを構築するためには、妥当性の検証が最も重要であり、出来る限り多くの症例数で検討することが望ましい。そのためには症例および臨床データの蓄積が重要な要因となる。神戸大学医学部附属病院のみではなく、各関連病院に協力を依頼し、症例を積み重ねる努力を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ゲノム解析費用が予定よりも安価であったため、50,000円の未使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
当初の予定より多くのゲノムDNA検体の解析に用いる予定である。
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