研究実績の概要 |
今年度は、最終年度にあたり、サルチリ酸メチル,サルチル酸グライコールの薬効機能成分化合物を初期から中期にわたり均一に表面に拡散(ブリード)するという0次拡散発布剤系の3次元的モルフォロジー設計の拡散制御製品を目標とした。まず、サルチリ酸メチル,サルチル酸グライコールの薬剤吸収性は、セルロースの結晶化度が低いと吸収量は高くなることを見出した。しかし薬剤を吸収した非晶性セルロースからの放出性は、セルロースの分子構造(極性基濃度)と薬剤との親和性が高いため、放出性は急激に低下することも確認した。結果的には結晶化度30-40%のものが吸収・放出のバランスが良好であることを見出した。このセルロースの結晶化度制御は、西岡らの臼式温度制御粉砕技術で制御できることも確認した。「粘着樹脂ブレンド系で放出性制御のための3次元モルフォロジー設計」については、厚み方向に多層化されているPE層(発布剤互着防止が目的)の結晶化度が低いと初期に薬剤が急激に表面に拡散(ブリード)してしまい、中期的にはブリード量が低下する。これを解決する条件としてPEの厚みが50μm場合PEの結晶化度60%以上にするとサルチル酸メチル、サルチル酸グライコールが初期から中期(150時間)に渡り一定量で表面にブリードすることを見出した。この中で、拡散挙動の解析手法として表面反射赤外分光法の詳細条件を確立した。さらには、より精度向上できる手法のアイデアも創出した(多層フィルム積層試料経時測法)。
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