研究課題/領域番号 |
26460216
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 宏樹 東京大学, 薬学系研究科, 特任助教 (80451855)
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研究分担者 |
澤田 康文 東京大学, 薬学系研究科, 特任教授 (80114502)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 副作用 / 相互作用 / 地域薬局 / 市販後情報収集 |
研究実績の概要 |
《1》【副作用・相互作用情報の収集】前年度に構築した「薬局薬剤師による副作用・相互作用システム」を用い、引き続き、地域薬局チェーン(72 店舗、薬剤師約 420 名)の協力の下、通常業務の服薬指導の中で患者から聴取した副作用や相互作用の症状に関連した情報を収集した。本年度は 433 例を収集し、総計で 5,000 例以上の副作用・相互作用情報を収集できた。 《2》【副作用・相互作用情報の集計・解析】《1》において 2015 年 5 月末時点で収集されていた 4,843 例のうち、薬剤師が「眠気」「めまい」「ふらつき」「血圧低下」として捉えた症例は、それぞれ 322 例・184 例・164 例・16 例、また、「尿閉」「排尿困難」「口渇」「便秘」として捉えた症例は、それぞれ 7 例、14 例、100 例、123 例であった。これらのうち、服用薬に関する十分な情報と重篤度の情報が得られた症例について、症例の副作用が医薬品添付文書のどの項目(重大な副作用、その他の副作用、重要な基本的注意など)に記載されているかによってリスクポイントを当てはめ、服用薬(被疑薬・併用薬)ごとに合計することによって副作用リスクを評価した。その結果、リスクポイント合計と副作用の重篤度(軽度・中等度・重度)との間に有意な関連が認められた。本研究で用いた副作用リスク評価法は、服用薬からこれらの副作用を予測できる可能性がある。 《3》【副作用・相互作用情報の報告意識】薬剤師を対象としたウェブアンケートにおいて、回答者の約 7 割が副作用報告の経験を有していたものの、報告件数は 2~5 件程度と少なかった。また、因果関係が不明確なことやよく知られている副作用であることが、報告を阻害する要因となっている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
副作用・相互作用情報の収集、副作用・相互作用情報の解析に関しては、概ね順調に進展している。副作用・相互作用情報の収集の結果から、当初の計画に加え、薬剤師による副作用報告の現状を調査する必要性が生じたため、それに費やした時間の分だけ、因果関係評価指標の構築に関して、やや遅れが生じていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
副作用・相互作用情報の収集を引き続き行っていくが、実際に使用している薬局薬剤師から意見を聴取し、より使いやすいシステムへの改善を目指す。収集した情報についても、引き続き、特徴的な副作用・相互作用を抽出し、医薬品との因果関係の評価や、処方医薬品からの副作用・相互作用発現の予測可能性などを解析する。さらに、解析結果を踏まえ、因果関係評価のために必要なアルゴリズムの改変もしくは新規構築を行い、地域薬局においてより一層活用可能な因果関係評価法とすることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度中にシステムの改変を予定していたが、大きな改変の必要性がなかったため、次年度の改変とあわせて実施することとしたため、改修費を次年度に使用することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度中に実施予定であったシステムの改変に関わる費用については、翌年度に実施を予定している改修とあわせて使用する予定である。
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