研究実績の概要 |
《1》【副作用・相互作用情報の収集】初年度に構築した「薬局薬剤師による副作用・相互作用システム」を用い、地域薬局グループ(72 店舗、薬剤師約 420 名)の協力のもと、薬剤師が通常業務の服薬指導の中で患者から聴取した副作用や相互作用の症状に関連した情報を収集した。本年度は 233 例を収集し、研究期間全体では総計で 5,379 例の副作用・相互作用情報を収集できた。 《2》【副作用・相互作用情報の集計・解析】《1》において収集した症例に関して、薬剤師が「眠気」「めまい」「ふらつき」「血圧低下」として捉えた症例、「尿閉」「排尿困難」「口渇」「便秘」として捉えた症例について、服用薬の添付文書をもとに副作用リスクを評価するアルゴリズムを構築し、副作用リスクポイントと副作用の重篤度との間に有意な関連が認められた。本年度は、構築した副作用リスク評価法の妥当性について、別のデータを用いて眠気、めまい、ふらつき、血圧低下等により惹起すると考えられる「転倒」と服用薬剤との関連を検討したところ、同様に副作用リスクポイントと転倒との間に有意な関連が認められた。本研究で構築した副作用リスク評価法は、服用薬から副作用を予測する手法として有用であると考えられる。 《3》【副作用・相互作用情報の収集促進】薬剤師を対象としたウェブアンケートにおいて、因果関係が不明確なことやよく知られている副作用であることが、報告を阻害する要因となっている可能性が示唆された。本年度は、副作用の報告を促す方法の一つとして、《1》で構築したシステムを改修し、報告された副作用について詳細な情報を付加した教育用コンテンツを掲載する機能を持たせた。これにより、報告の質や量が改善される可能性が示唆される。また、患者より副作用情報を聞き取る方法論に関する考察を行った。
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