研究課題/領域番号 |
26460219
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
池田 佳代 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 助教 (30379911)
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研究分担者 |
森川 則文 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 教授 (30346481)
猪川 和朗 広島大学, 医歯薬保健学研究院(薬), 准教授 (40363048)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 遺伝子検査 / 薬局薬剤師 / 口腔細胞 / 薬局 / 薬学部学生 / 事前教育 / 生活習慣病 / 予防医学 |
研究実績の概要 |
現在、肥満関連等の遺伝学的検査キットの発売により、遺伝子の知識が少ない一般市民が安易に自らの遺伝情報を手にした結果、不安に陥る、自らの判断で生活習慣を変えるなど医師への受診や治療が遅れるなどの問題が発生しつつある。そこで本研究では、一般市民の身近にいる薬剤師/薬局が遺伝情報の入手に積極的に関与することにより、一般市民の生活習慣病予防の行動変容に正しい動機を促し、健康維持増進に寄与できると考えた。 この実現を喫緊の課題と捉え、本計画を、薬剤師がゲノム遺伝子検査に習熟した後に市民への啓発を行う「薬学部学生及び薬剤師への肥満関連遺伝子検査セミナー」の実施、ゲノム薬理学への発展へと変更した。 平成27年度は、初年度の「薬学部学生に対してのセミナー」について論文投稿を行い、査読を受け、修正後、受理された。また、薬剤師への肥満関連遺伝子検査セミナー実施のため、「広島県薬剤師会学術大会」にて、薬学部学生に対してのセミナーにつき発表し、セミナーの勧誘を行った。その結果、「薬剤師への肥満関連遺伝子検査セミナー」が実施でき、薬剤師の遺伝子検査への意欲調査を行うことができた。また、平成28年度には、薬剤師と共に一般市民(患者を含む)に対しての肥満関連遺伝子検査セミナーを実施予定であり、ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理審査に申請中である。このセミナーにより、薬剤師/薬局は、一般市民の生活習慣病予防の行動変容の動機とし、健康維持増進に寄与するための重要な役割を果たすことが期待される。 口腔細胞からのゲノムDNA採取法についての検討は、初年度に開始した検討を継続しており、様々なゲノムDNA採取法及び遺伝子多型解析についての検討が実施できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度での研究計画の変更により、達成度は「やや遅れている」であった。 当初は現在販売されている遺伝子採取キットの使用を予定していたが、事前調査でその精度を確認したところ、やや問題があることが判明した。そこで、初年度には、ゲノムDNA採取法及び遺伝子多型解析についての再検討、特に対立遺伝子特異的pollymerase chain reaction(PCR:ポリメラーゼ連鎖反応)等の検討を行った。遺伝子多型によって1か所のみ変異のある遺伝子に対しての、対立遺伝子特異的プライマーを用いてDNAを増幅する方法では、1か所のみの変異であるため、微妙な条件検討が必要であり、尚且つPCR機器により条件が変化することが判明した。この過程で、検討に使用していたPCR機器が最終的な時点で故障し、修理不能となったため、対立遺伝子特異的PCRについての全てのデータを再採取する必要が発生し、研究に遅れが生じた。しかしながら、鋭意検討を進めた結果、再現性と精度の高い検査手法の確立に成功し、まずは薬学生ならびに薬剤師を対象とした「薬学部学生及び薬剤師への肥満関連遺伝子検査セミナー」を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
薬剤師/薬局と共に一般市民(患者を含む)に対しての肥満関連遺伝子検査セミナーを実施予定である。 これまでの検討により、薬剤師/薬局からも「ゲノム薬理学」に関して、「ゲノム薬理学として代謝酵素等の遺伝子検査結果を薬物療法の評価(効果と副作用の評価)に利用できれば、より適正な薬物療法へ寄与できると考えられる。」との意見が得られている。従って、さらに「ゲノム薬理学」へと推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の、研究成果をより高めるための研究計画の見直しにより、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究計画書」を修正したため、研究の開始が遅れた。 本研究は初めての試みであることから、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究計画書」は段階を追って順次提出する必要があった。即ち、初年度の「ヒトゲノム・遺伝子解析研究計画書」では「薬学部学生」を対象とし、平成27年度の「ヒトゲノム・遺伝子解析研究計画書」では「薬剤師」を対象に加え、次のステップで「一般市民」を加えるというように、「ヒトゲノム・遺伝子解析研究計画書」の記載をその都度小分けにする必要があった。そのために、当初予定していたよりも審査に時間がかかり、研究の開始と進行が遅れた。また、対立遺伝子特異的PCRについても、データ再採取のため時間が必要となった。これらの理由から、次年度使用額が生じた。が、その後の検討により、遅れは改善された。
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次年度使用額の使用計画 |
研究に精一杯取り組み、肥満関連遺伝子セミナー、ゲノム薬理学、学会発表により使用する予定である。
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