研究課題/領域番号 |
26460225
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
内野 智信 静岡県立大学, 薬学部, 講師 (40345228)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ヘキソソーム / キューボソーム / グリセリンモノオレイルエーテル / フィタントリオール / NMR |
研究実績の概要 |
本年度は、液晶構成成分としてフィタントリオールを、モデル薬物として引き続きフルルビプロフェンを用いた薬物封入液晶のキャラクタリゼーションとフルルビプロフェンの経皮吸収性評価をおこなった。予備実験の結果、フィタントリオールの系では逆キュービック液晶の水分散体であるキューボソームが得られていたが、フルルビプロフェンを封入しても、キューボソームの構造を維持しており、7.5mg/mLのフルルビプロフェンの封入が可能となった。NMRの結果、フルルビプロフェンはキューボソームの脂質鎖と相互作用した状態で存在しているものと示唆された。また、ユカタンマイクロピッグの皮膚を使用したフルルビプロフェンの皮膚透過試験を行ったところ、フルルビプロフェンの24時間後の累積皮膚透過量は146.4± 16.1 μg/cm2 (mean ± SE, n = 5) とフルルビプロフェン溶液(2.1± 0.4 μg/cm2 (mean ± SE, n = 5))や先に検討していたヘキソソームの系(109.4 ± 6.4 μg/cm2 (mean ± SE, n = 5))とよりも優位に高かった。今後はこれらの系の経皮吸収メカニズムの検討を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予備実験の段階で大まかな処方設計ができていたこと、前年度にグリセリンモノオレイルエーテルを用いた系を論文発表できていた点などが大きいと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
前述のように、SPring-8での角層と薬物および液晶成分の相互作用解析や蛍光物質を用いた薬物および液晶構成成分の皮膚透過挙動について検討し、薬物や液晶製剤の経皮吸収改善メカニズムの検討を行っていく。SPring-8での実験については、すでに申請課題が採択され(課題番号:2015B1118)、測定は終了している。現在得られた膨大なデータを解析中であり、解析終了後、順次学会や論文発表をしていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述のように、当該研究は「おおむね予定通り順調に遂行している」。2015年度は1,484円が残額として残ってしまったが、今年度の予算に組み入れ、計画的に執行する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
残額の1,484円は、本年度予算とともに計画的に執行していく予定である。
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備考 |
Leiden Academic Centre for Drug Research, Leiden UniversityのDr.Bouwstra教授とは、主に「SPring-8の放射光X線を用いた角層と液晶の相互作用に関する研究」で共同研究を遂行している。
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