研究実績の概要 |
【目的】本研究は,”花粉症根治療法のための新規減感作作動性徐放性製剤”を開発するため, 新規合成高分子を用いたマイクロスフェア製剤を設計, 評価することを目的に企図された.本年度は, 精製スギ花粉抗原(Cryj1)を定速で放出するAlzet浸透圧ポンプを花粉症モデルマウスに1カ月埋め込み, マウス体内免疫反応の詳細を検討することを目的としている.
【実験方法】6週齢, BALB/cマウスに, 1.0 μg Cryj1/Alum溶液を週1回, 2週間腹腔内投与後, 0.5 μg Cryj1/CholeraToxin B溶液を7日間連続経鼻投与し, 最終投与直後から10分間, くしゃみ・鼻掻き回数をカウントし, 翌日に採血して血清中の抗体価を測定した. それらの結果から感作度の高いマウスをスクリーニングした後, 生理食塩水または25, 50, 100 μg/mLのCry j1を充填したALZETポンプを各3匹ずつに皮下移植して4週間減感作治療を行った後, ALZETを摘出した. 摘出の2週間後に1.0 μg Cryj1/水酸化アルミニウムゲル(Alum)溶液をアジュバントとして, 週1回, 2週腹腔内投与した. 血清中のCryj1特異的IgE, IgGおよびIgG2aをELISA法にて定量した.
【結果】ALZET に内封したCry j 1濃度依存的に, Cryj1特異的IgEは低下し, 生食と比較して, 特に50及び100 μg/mLではIgE量はが約1/2まで抑制された. これらの結果から, アレルゲンを132 ng/dayで持続投与できれば, 免疫寛容を引き起こせる可能性が示唆された.
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