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2015 年度 実施状況報告書

多剤耐性に寄与するP-糖タンパク質の発現の速さと量を規定する因子の同定

研究課題

研究課題/領域番号 26460231
研究機関東北薬科大学

研究代表者

蓬田 伸  東北薬科大学, 薬学部, 講師 (80230845)

研究分担者 染谷 明正  順天堂大学, 医学部, 准教授 (90167479)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードがん細胞 / 薬剤耐性 / P-糖タンパク質 / Keap1 / Nrf2 / オートファジー
研究実績の概要

P-糖タンパク質の速さや発現量を規定する因子を同定するため、P-糖タンパク質の発現量や期間に差があるK562細胞を可溶化し、タンパク質の網羅的解析(iTRAQ試薬とSWATH)を行った。その結果、ユビキチン関連酵素などが候補として上がってきた。最近、Keap1-Nrf2制御系は、生体の酸化ストレス防御機構において注目されている。Nrf2は、薬剤などの外来刺激によるストレスに対しても重要な防御因子であり、恒常的なNrf2の安定化は、がんの悪性化に関係していることが報告されている。このNrf2の機能を制御しているのがKeap1である。Keap1が、活性酸素種や毒物などのセンサーとして働くことから、P-糖タンパク質の発現においても深く関わっている可能性が考えられた。そこで、P-糖タンパク質の発現の違うK562細胞を用いてウエスタンブロットで検討しところ、P-糖タンパク質の発現量が多い細胞では、Keap1の発現の低下が認められた。これに対して、P-糖タンパク質の発現量が少ない細胞では、Keap1の発現量の低下が認められず、むしろ増加する傾向が確認された。そして、Doxorubicinを処置してもP-糖タンパク質の発現が認められない細胞においては、Keap1の発現量に変化は認められなかった。さらに、Keap1の分解は選択的オートファジーに必要なp62タンパク質が関与することが報告されている。そこで、p62タンパク質に対する抗体やリン酸化抗体を用いて解析したところ、変化は認められなかった。このことから、耐性細胞の発現には、Keap1-Nrf2制御系において新たなメカニズムが存在する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

DNAマイクロアレイの解析に時間を要していること。また、網羅的プロテオミクスの解析するために、細胞の可溶化の条件検討に時間が必要だったこと。さらに、網羅的解析によって候補となる因子を絞り込めないかったことによる。

今後の研究の推進方策

Keap1-Nrf2制御系の関与が認められたことから、P-糖タンパク質の発現の違う耐性細胞を用いて、網羅的メタボロミクス解析を行い、P-糖タンパク質の発現に特徴的な代謝経路を明らかにする。さらに、網羅的プロテオミクス解析、DNAマイクロアレイや網羅的メタボロミクス解析から更なるP-糖タンパク質の発現等に関わる因子を絞り込み、生化学的手法や分子生物学的手法、あるいは免疫学的手法を使いP-糖タンパク質の発現の速さと量を規定する因子を同定する。そして、P-糖タンパク質の発現の速さや量に関わる因子の働きをin vivoで検証する。

次年度使用額が生じた理由

網羅的プロテオミクス解析に他の耐性細胞も数種類予定していたが、サンプルが間に合わなかったこと。さらに、候補となる因子の絞込みに時間がかかり、抗体やsiRNA等の作成ができなかったことによる。

次年度使用額の使用計画

他の種類の耐性細胞の樹立ができたことから、網羅的プロテオミクスおよびメタボロミクス解析を行う予定である。さらに、候補となる因子に対する抗体等を購入し、生化学的手法や分子生物学的手法、あるいは免疫学的手法を使いP-糖タンパク質の発現の速さと量を規定する因子の機能を解析する。

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公開日: 2017-01-06  

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