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2014 年度 実施状況報告書

P2Y12受容体拮抗薬を癌転移抑制薬として臨床適用するための基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 26460244
研究機関武庫川女子大学

研究代表者

中村 一基  武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (20299093)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード血行性肺転移モデル / クロピドグレル / 抗凝固作用
研究実績の概要

平成26年度は、血行性肺転移モデルを用いてP2Y12受容体拮抗薬クロピドグレルの癌転移抑制効果を検討した。すなわち、鳥取大学医学部岡田太教授より供与された高転移性のB16-BL6マウスメラノーマ細胞 100,000 個を可移植性の C57BL/6NCr マウス尾静脈内に接種2週間後に、ウレタン麻酔下で肺を摘出し、肺に形成された黒色の肺転移結節をカウントした。クロピドグレル (0, 5 または 25 mg/kg) は、癌細胞接種日から連続2週間、1日1回経口投与(いずれも経口投与後、肝で代謝を受けて活性代謝物となるため)した。癌転移抑制効果は、クロピドグレルを投与せず B16-BL6 細胞のみを静脈内投与した対照マウスの肺転移結節数に対する減少作用にて判定した。さらに、クロピドグレルによる副作用の出血傾向を調べるために、クロピドグレル (0, 5 または 25 mg/kg) を2週間投与したマウスの尾部先端を1 mm 切断後に出血持続時間を計測した。なお、1群の例数は7とした。
その結果、まず、クロピドグレル25 mg/kg 投与群の肺転移結節数は、対照群よりも有意に低下していた。次に、クロピドグレルを投与しなかったマウスの出血は尾部先端切断後10分以内に消失したが、クロピドグレル 5 または 25 mg/kg 投与マウスの出血は10分後も継続した。
以上の結果より、クロピドグレルには、B16-BL6 細胞の肺転移を抑制する作用のあることが確認された。その際、クロピドグレルを投与されたマウスは、出血傾向を示していたことより、クロピドグレルによる血行性肺転移抑制作用には抗凝固作用が関与していることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通りに血行性肺転移モデルを用いてクロピドグレルの癌転移抑制効果を確認できたとともに、クロピドグレル投与後マウスにおける出血傾向も計測できたため。

今後の研究の推進方策

平成27年度には、マウスメラノーマ細胞の自然肺転移モデルおよびマウス大腸癌細胞の経脾肝転移モデルを用いてクロピドグレルの転移抑制効果を in vivo 実験系にて検討する。
最終年度の平成28年度には、クロピドグレルによる抗凝固作用を介さない癌細胞への直接的な転移抑制効果を in vitro において検討するとともに、その分子生物学的な作用機序についても追究する。

次年度使用額が生じた理由

小型実験動物(マウス)体重測定用電子天秤(定価10万円相当)を購入予定していたが、機種の選定に予想外に時間がかかってしまい、平成26年度内での購入ができなかったため。

次年度使用額の使用計画

購入希望の小型実験動物(マウス)体重測定用電子天秤の機種が確定したため、小型実験動物(マウス)体重測定用電子天秤(型番FZ-1200iWP、株式会社エー・アンド・ディ)を購入する。残高が生じる場合は、速やかに必要試薬の購入に充てる。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Anticancer and antimetastatic effects of cordycepin, an active component of Cordyceps sinensis2015

    • 著者名/発表者名
      Kazuki Nakamura, Kazumasa Shinozuka, Noriko Yoshikawa
    • 雑誌名

      Journal of Pharmacological Sciences

      巻: 127 ページ: 53-56

    • DOI

      10.1016/j.jphs.2014.09.001

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [備考] 武庫川女子大学薬学部薬理学I研究室

    • URL

      http://ph.mukogawa-u.ac.jp/~yakuri1/

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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