研究課題/領域番号 |
26460246
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研究機関 | 姫路獨協大学 |
研究代表者 |
高良 恒史 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (00329939)
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研究分担者 |
峯垣 哲也 京都薬科大学, 薬学部, 助手 (10549306)
木下 淳 姫路獨協大学, 薬学部, 講師 (60454766)
中山 優子 姫路獨協大学, 薬学部, 助手 (50708419)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エピジェネティクス / 癌 / 抗癌剤耐性 |
研究実績の概要 |
近年、ゲノム塩基配列以外にも個人差として遺伝的に伝達されるエピジェネティクスが注目されている。エピジェネティクス変異は遺伝子機能の発現に影響することから、抗癌剤耐性のメカニズムにも影響を及ぼす可能性は十分に想定される。また、耐性細胞におけるエピジェネティクス変異が、新たな耐性克服のアプローチになる可能性も考えられる。そこで、抗癌剤で耐性を誘導した変異株を用いて、エピジェネティックな現象の相違が存在しているか否かについて検討した。 実験には、HeLa細胞とその耐性変異株3種(HeLa/TXL、HeLa/CDDP及びHeLa/SN100細胞)を用いた。これら細胞におけるゲノムワイドのメチル化度は、MethylampTM Global DNA Methylation kitを用いて測定した。また近年、脱メチル化への関与が報告されているTET(ten-eleven translocation)に着目し、これら細胞におけるTETファミリーの発現を解析した。その結果、各細胞における抗癌剤感受性プロファイルは異なったが、ゲノムワイドのメチル化度はHeLa及びその耐性変異株において有意な相違を認めなかった。これは、ゲノムワイドではなく、各遺伝子についてメチル化異常を測定する必要を示唆している。一方、5-メチル化シトシンの脱メチル化を促す水酸化酵素であるTETファミリーの発現について検討した結果、いずれの細胞でもTET1、2及び3のmRNAレベルの発現は確認でき、TET2 mRNAの発現レベルが最も高値であった。しかしながら、TET2 mRNA発現はHeLa及びその耐性変異株において顕著な相違を認めなかった。同様の結果がウェスタンブロッティングにおいても観察された。現時点では、抗癌剤耐性に関与するエピジェネティックな現象を見いだせていないため、さらなる検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、HeLa及びその耐性変異株における感受性データや遺伝子、タンパク発現量のデータを集積することが出来ている。しかしながら、これら定量的データを用いて抗癌剤耐性を説明するための関係式を構築するにはデータ量がまだ十分とは言えない。そのため、特定の遺伝子におけるエピジェネティック現象を詳細に解析するとともに、次年度に予定していたエピジェネティック変異のリセットによる抗癌剤感受性の回復効果を測定し、抗癌剤耐性を説明できる関係式を構築するためのデータ集積を行う。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の成果を基に、抗癌剤耐性とエピジェネティック現象の関連性を明らかにするためには、エピジェネティック変異のリセットによる抗癌剤感受性の回復効果を測定することが最優先課題と考えられた。そのため、脱メチル化作用を有するアザシチジンを用いて、アザシチジン前処置による抗癌剤感受性の変動について評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入時に発生してしまった端数により、次年度使用額が生じてしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の物品費に組み入れ、物品の購入に充当する予定である。
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