研究課題/領域番号 |
26460247
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
前田 志津子 広島国際大学, 薬学部, 助教 (80435065)
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研究分担者 |
杉原 数美 広島国際大学, 薬学部, 教授 (20271067)
塚本 豊久 広島国際大学, 薬学部, 教授 (40389101)
佐和 章弘 広島国際大学, 薬学部, 准教授 (70389104)
田山 剛崇 広島国際大学, 薬学部, 講師 (80389121)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医薬品曝露 / 医薬品粉じん / 環境汚染 / 後発医薬品 |
研究実績の概要 |
床面積約15平方メートルの閉鎖された空間において、医薬品粉じんの飛散具合を調査するモデル実験を行った。200mLビーカーにロキソニン細粒10% 10.0gを入れ、スターラーで撹拌させ粉じんを発生させる。この状態を60分間持続させ1セットとし、デジタル粉じん計(柴田科学株式会社)によって粒子径10μm以下の粉じんの相対濃度を測定した。空気清浄器の有無や風量、台数の違い等、様々な条件を設定し、粉じんの飛散がどのように変化するのか検討を行った。 その結果、空気清浄器の運転により粉じんの飛散は有意に抑えられていた(P値<0.01)。また、粉じん飛散の軽減には、空気清浄器の台数よりも風量の総量がより影響していることが分かった。今回の実験においては、風量 2.1立方メートル/分以上で空気清浄器の運転を行うと、飛散する粉じん量を十分抑えることができた。複数の空気清浄器を使用する場合は、互いの風力によって発生粉じんを引き合い、粉じん濃度が高くなってしまう可能性もあるため、空気清浄機を設置する位置や向き等については再度検討が必要である。 続いて、調剤作業による作業者への曝露、並びに作業環境場の汚染状況について調査した。半錠分割作業後の調査においては、汚染範囲の広狭はあるものの、素手と専用はさみによる作業の両方において、粉じんによる汚染が作業者の両手と作業台に確認された。また、錠剤粉砕作業終了後の調査においても、作業者の両手と作業台に粉じんによる汚染が確認された。特に作業台の乳鉢付近に汚染が見られた。 これらの汚染は医薬品のクロスコンタミネーションのみでなく、調剤作業者や他の作業台利用者(次回の調剤作業者等)への医薬品曝露にもつながる。以上の結果を考慮し、マスク着用や換気の徹底、及び作業ごとの手洗いや作業台の清掃が望ましいと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度予定していた先発医薬品と後発医薬品の物性調査及びその比較が途中となっているが、替わりに来年度調査予定であった、効率的な空気清浄機の使用設置や換気方法について検討を行ったので、進捗状況は順調と考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、先発医薬品と後発医薬品の比較に焦点を当て研究を行う。具体的には、先発医薬品とその後発医薬品についての物性調査及び粉じんの飛散量について調べ、それらに違いがあるかについて検討する。粉じん飛散量の比較については、今年度よりすでに着手している。物性調査については、本研究室で測定できないものに関しては業務委託にて行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験の効率を考え、先発医薬品と後発医薬品の物性調査を来年度以降に延期したため、それらに必要な金額が未使用のままである。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度未使用の物性調査費に関しては今年度使用予定である。また、今年度は医療関係者へのアンケートを予定しているが、金額に余裕があるようであれば、その規模を当初の予定より拡大する方向で計画を進めている。
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