研究課題
慢性腎不全の治療に使用されている既存薬物と機能性食品素材とのコンビネーションによる新たな抗酸化作用を活用して、酸化ストレスを軽減させる新規治療及び予防戦略を提案する。研究最終年として、in vitro スクリーニングにより抗酸化作用を有するだけでなく尿毒症物質インドールを効率的に吸着するキチンを微細化し部分的に脱アセチル化したキトサンナノファイバー(CS-NF)を用いて、慢性腎不全モデルラット(CRF-rat)におけるin vivoでの腎不全抑制効果について検討を行った。CS-NF投与4週後における生化学パラメータの変動を測定した結果、CS-NF投与群において、未処理群と比較して、腎障害抑制が観察された。次に、CS-NF投与4週後における抗酸化パラメータの変動を測定した結果、CS-NF投与群において、未処理群と比較して、抗酸化作用を維持する傾向が観察された。これは、投与されたCS-NFが消化管内で尿毒症物質あるいはその前駆体を吸着することにより糞中に排泄し、体内蓄積を抑制した結果、腎保護及び抗酸化作用を示したと考えられる。また、CS-NF投与4週後における腎臓の組織学的観察を行った結果、CS-NF投与による腎臓線維化の抑制及び8-OHdGの有意な減少が観察された。以上の知見より、CRFモデルラットへのCS-NF投与は、腎不全の進行を抑制するだけでなく、腎不全時の酸化ストレス亢進も抑制していることが明らかとなった。興味深いことに、CS-NFの投与量は、キトサン粉末投与の約半分量で効果が観察されたことから、より低用量での投与が可能となり患者のQOLならびに医療経済的にも有効であると考えられる。さらに昨年明らかにしたシクロデキストリン(CyD)の腎不全抑制および苦味軽減効果により、CS-NFとの併用投与による腎不全抑制効果とCS-NFの苦味軽減効果が期待される。
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