研究課題/領域番号 |
26460250
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
宮崎 太輔 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90374230)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プルキンエ細胞 / 登上線維 / 平行線維 / 電位依存性カルシウムチャネル / シナプス競合 |
研究実績の概要 |
【概要】小脳のプルキンエ細胞は平行線維と登上線維による興奮性入力を受けている。申請者は、発達期においてこの2種類の興奮性入力がそれぞれGluRδ2と電位依存性カルシウムチャネルCav2.1を強化分子として互いに競合し、登上線維単一支配化や協調運動発現に関わっていることを明らかにしてきた。申請者は「異種シナプス間競合関係が成体期においても存在し、この均衡維持が小脳の機能発現に重要である」という仮説を立て、この実験的証明のため誘導型Cav2.1欠損マウスを用いた形態学的・電気生理学的解析を行う。 【平成26年度の実績】プルキンエ細胞特異的誘導型Cav2.1欠損マウスにおける神経回路を形態学的に解析し以下の所見を得ている。①欠損誘導後のCav2.1発現量の経時的低下②平行線維支配領域の近位拡大と登上線維支配領域の近位縮小、③登上線維-プルキンエ細胞多重支配の再出現がみられないことを示した。 【平成27年度の実績】 プルキンエ細胞特異的誘導型Cav2.1欠損マウス形態解析において以下の所見を得ている。④Cav2.1欠損誘導後2週からの協調運動能が低下、⑤欠損誘導後3週からaldolaseC陰性領域における進行性のプルキンエ細胞死、⑥小脳帯状構造の境界領域が不明瞭になっている様子を帯状領域特異的マーカー分子発現によって明らかにした。⑦登上線維-プルキンエ細胞支配単一支配が維持されている様子を電気生理学的解析によって明らかにした。 以上の結果は成熟プルキンエ細胞において平行線維-登上線維間の異種シナプス間競合関係が存在し、この均衡維持においてCav2.1が登上線維入力の強化分子として機能していることを強く示唆するものであった。さらにCav2.1は成体小脳においてプルキンエ細胞の生存、小脳帯状構造依存的な分子発現の維持に関わっていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では成体小脳における異種シナプス競合機構の解明を目的として、成体期からのCav2.1欠損モデルマウスを作製し、その興奮性回路の経時変化を形態学的・生理学的解析により明らかにしていく。その解析項目は以下の6項目に大別される。①誘導後のCav2.1欠失を経時的に定量、②登上線維、平行線維によるプルキンエ細胞支配領域の検討、③登上線維-プルキンエ細胞支配様式の検討、④協調運動機能の検討、⑤登上線維-プルキンエ細胞入力の生理学的解析、⑥平行線維-プルキンエ細胞入力の生理学的解析 平成26年度ではこれらの解析項目のうち、①から③まで、平成27年度では④、⑤が予定通り終了しているため、本研究計画は概ね順調に進行していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では成体小脳における異種シナプス競合機構の解明を目的として、成体期からのCav2.1欠損モデルマウスを作製し、その興奮性回路の経時変化を形態学的・生理学的に解明することが目的である。平成28年度は研究計画通り、山崎美和子先生(本研究課題研究協力者、北海道大学・講師)の協力を受け、上記解析項目⑥平行線維-プルキンエ細胞入力の生理学的解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度において31,536円の未使用額が生じた。これは平成27年度3月納品の物品の支払いが翌4月になったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
今回生じた未使用額は平成28年度の物品費として使用する予定である。
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