研究課題
これまでの解析で、重度の浮腫を呈するAspp1-/-マウスにおいて生理的リンパ管・静脈吻合不全と頸部リンパ管の著明な拡張を見出した。末梢組織内に非侵襲的リンパ管・静脈吻合を形成するPlcg2-/-マウスとの交配を行ったところ、胎生16.5 日目までにAspp1-/-;Plcg2-/-マウスが致死となることが明らかになった。このことは、胎生期において末梢組織内にリンパ管・血管吻合を作製しても、Aspp1-/-マウスの病態は改善するどころか悪化してしまうこと示している。致死となる原因を明らかにするために胎生15.5日目の胎仔の解析を試みたが、Aspp1+/-;Plcg2+/-マウスの雌雄の交配からAspp1-/-;Plcg2-/-マウスが得られる確率は16分の1であり、これまでにAspp1-/-;Plcg2-/-マウスを十分解析できていない。また、新規ガイダンス分子セマフォリン3G(Sema3G)が生理的リンパ管・静脈吻合の形成に果たす役割を明らかにする目的でSema3G-/-マウスを解析したが、生理的リンパ管・静脈吻合に異常は認めなかった。一方で、Sema3G-/-マウス胎仔皮膚を血管とリンパ管内皮細胞、平滑筋細胞のマーカーでホールマウント染色し、フラットマウント標本を作製して共焦点レーザー顕微鏡で解析したところ、リンパ管が動脈と異常に近接してランダムなリンパ管網が形成されない表現型を見出した。さらに、膜受容体PlexinD1欠損マウスでも同様の表現型が見られること、PlexinD1はSema3Gに直接結合する受容体Nrp2と複合体を形成してシグナルを伝えることを明らかにした。Sema3Gは動脈内皮細胞特異的に発現する分子であり、PlexinD1陽性リンパ管内皮細胞が動脈上を遊走した後で、動脈から離れてランダムな分布をする際に作用する反発分子であることが明らかになった。
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Cell Rep
巻: 17 ページ: 2299~2311
10.1016/j.celrep.2016.11.008.
Sci Rep
巻: 6 ページ: 27186
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http://www.med.kobe-u.ac.jp/vascul/