本研究は哺乳類に特徴的な形態である聴覚器官の進化的成立に着目した。中耳は胎児期に生じる咽頭弓において形成され、耳小骨と鼓膜で構成される。従来、鼓膜は外耳道と第1咽頭嚢が第1、2咽頭弓の境界に沿って会合することにより形成される膜成分であると考えられてきた。本研究では、マウスとニワトリにおける鼓膜の形成過程をさらに詳細に比較し、両者における中耳形成の相違点を明らかにしようと考えた。マウスやニワトリの咽頭弓における遺伝子発現解析や実験発生学的手法により、マウス・ニワトリの鼓膜形成過程が共に従来の理解とは異なることを明らかにした。以上の研究結果を原著論文として発表した。
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