研究課題/領域番号 |
26460261
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
伊藤 弓弦 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 研究チーム長 (30500079)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ツメガエル / 心筋 / 化合物 / 発生 |
研究実績の概要 |
ヒトES細胞やiPS 細胞などを利用した再生医療研究が盛んに行われているが、その分化制御技術は依然として混沌としており、再現性の乏しい不十分なものも多い。その理由の一つに、従来の「原因遺伝子/変異体を元にした解析」「ES細胞/iPS細胞を用いたスクリーニング」から得られる新しい成果が飽和してきたことが考えられる。本申請研究では、上述の問題点を打破するため、大量の初期胚を入手でき、膨大な発生学的知見が蓄積した極めて優れたモデル生物であるツメガエル初期胚を用いて、化合物ライブラリーを駆使した、新規心臓形成シグナルパスウェイの探索と解明をすることを目的としている。特に3次元的構造が生体内での機能に重要な心臓に焦点を絞り、哺乳類胚では不可能な胚内の心臓形成に対する影響を、化合物ライブラリーを用いて解析する。 平成26年度は、数百種の化合物が搭載された化合物ライブラリーを準備し、アフリカツメガエル初期胚に対して処理、スクリーニング実験を行った。その結果、1種類の化合物(ある種の代謝酵素に対する阻害効果が、先行研究で報告されている)に心臓形成に対する強い影響が観察された。そこで、当該化合物に関して、濃度、処理開始時間の最適値を検討した。決定した濃度で処理した胚を用い、尾芽胚期にwhole mount in situ hybridization法でNkx2.5及びcardiac troponin I等心臓マーカーの発現を解析したところ、発現減少が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画よりもスクリーニングに持ち込んだ化合物の種類が少なく、種類をこなすという観点では、やや遅れている。一方、心臓形成に効果のある化合物が見つかり、その詳細な解析が開始しているという観点からは、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終的に心筋形成に関して有用な新規シグナルを明らかにすることが目的であるため、平成26年度に見つけた化合物の詳細解析は優先的に進める。一方で、より研究の重厚さを高めるためにも、バックグラウンドでスクリーニング作業を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
化合物スクリーニング作業を進める上で、活性が見られた化合物の詳細解析を優先した。そのため、予定した化合物スクリーニングが後回しになり、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度に進める予定であった化合物スクリーニングの残りを、平成27年度に行うことで、当初の計画通りの助成金使用を達成する。一方、有望な候補化合物の詳細解析も並列して進める。
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