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2016 年度 実績報告書

脂質代謝異常の分子メカニズム-脂質メディエーター制御因子の形態学的解析-

研究課題

研究課題/領域番号 26460265
研究機関山形大学

研究代表者

中野 知之  山形大学, 医学部, 准教授 (00333948)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード肥満 / インスリン抵抗性 / ジアシルグリセロールキナーゼ / 脂質代謝
研究実績の概要

本研究は、近年問題になっている肥満、糖尿病などに代表される脂質代謝異常のメカニズムを分子レベルで解析することを目的として行われた。脂質は摂食などにより体外から得られるのみならず、元来、生体膜の重要な構成成分である。この点に関して、ジアシルグリセロール(DG)は中性脂質合成の中間(分解)物であるだけでなく、脂質二重膜構成成分であり、プロテインキナーゼC活性化などを通じて細胞内二次伝達物質として機能するユニークな分子である。よってDG代謝は生体内の脂質代謝機構と細胞内情報伝達系の両方を制御するハブ的な役割を果たすと考えられる。申請者が注目しているDGのリン酸化酵素DGキナーゼ(DGK)は前述の点で非常に興味深い分子である。本研究プロジェクトの平成26-27年度の成果として、10種あるDGKアイソザイムのうちでε型DGKの遺伝子欠損(DGKε―KO)マウスを高脂肪食で給仕すると、野生型に比べ、急激な脂肪沈着を伴う体重増加が生じることを明らかにした。さらにこの原因が、脂肪組織特異的に生じる脂質分解酵素の発現低下に帰することがわかった。このマウスの脂肪組織では炎症が惹起されていることが明らかとなり、肥満の本態が脂肪組織における炎症応答であるという今日のコンセンサスと合致した。さらに、DGK欠損の結果としてインスリンシグナルに異常が生じて、II型糖尿病様の表現型が現れることが明らかとなった。平成28年度の成果として、マウスから単離した脂肪細胞でも前述の組織レベルと同様の結果が得られ、DGKε―KOマウスの脂肪細胞における脂質代謝異常のメカニズムの一端が明らかとなった。以上の結果はこれまでに国内外の学会(日本解剖学会および米国細胞生物学会)で発表してきたが、現在、プロジェクト完了を機に国際誌への論文投稿を準備している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] R59949, a diacylglycerol kinase inhibitor, inhibits inducible nitric oxide production through decreasing transplasmalemmal L-arginine uptake in vascular smooth muscle cells.2017

    • 著者名/発表者名
      Shimomura T, Nakano T, Goto K, Wakabayashi I.
    • 雑誌名

      Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol.

      巻: 390 ページ: 207-214

    • DOI

      10.1007/s00210-016-1316-5.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Arachidonoyl-Specific Diacylglycerol Kinase ε and the Endoplasmic Reticulum.2016

    • 著者名/発表者名
      Nakano T, Matsui H, Tanaka T, Hozumi Y, Iseki K, Kawamae K, Goto K
    • 雑誌名

      Front Cell Dev Biol.

      巻: 4 ページ: 132 eCollection

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [学会発表] DGKepsilon欠損による白色脂肪組織の褐色化メカニズムの解析2017

    • 著者名/発表者名
      中野知之、後藤 薫
    • 学会等名
      第122回日本解剖学会総会
    • 発表場所
      長崎大学
    • 年月日
      2017-03-28 – 2017-03-30
  • [学会発表] Deletion of DGKepsilon attenuates lipolytic activity in adipocytes under high fat diet conditions2016

    • 著者名/発表者名
      Nakano T and Goto K
    • 学会等名
      Annual meeting of American Society for Cell Biology
    • 発表場所
      San Francisco, CA, USA
    • 年月日
      2016-12-03 – 2016-12-07
    • 国際学会
  • [学会発表] 高脂肪食により惹起されるDGKepsilon欠損脂肪組織の形質転換2016

    • 著者名/発表者名
      中野知之、後藤 薫
    • 学会等名
      第62回日本解剖学会東北・北海道連合支部学術集会
    • 発表場所
      帯広畜産大学
    • 年月日
      2016-09-02 – 2016-09-03
  • [図書] Diacylglycerol kinase In Encyclopedia of Signaling Molecules2017

    • 著者名/発表者名
      Nakano T and Goto K
    • 総ページ数
      印刷中
    • 出版者
      Springer

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公開日: 2018-01-16  

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