研究課題/領域番号 |
26460267
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
松崎 利行 群馬大学, 大学院医学系研究科, 教授 (30334113)
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研究分担者 |
向後 寛 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20282387)
向後 晶子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20340242)
青木 武生 群馬県立県民健康科学大学, 診療放射線学部, 教授 (70150919)
澤井 信彦 日本医科大学, 医学部, 講師 (70307916)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アクアポリン2 / リン酸化 / 脱リン酸化 / 腎臓 |
研究実績の概要 |
他の研究グループの報告では、アクアポリン2の269番目のセリン(Ser269)のリン酸化は集合管細胞の頂部細胞膜上でおこり、脱リン酸化されたアクアポリン2が細胞内へ取り込まれるとされてきた。しかし我々は細胞内でSer269がリン酸化され、頂部膜にトラッフィキングされること、さらに脱リン酸化されなくてもアクアポリン2は細胞内へ取り込まれることを示し、論文投稿した。自作抗体の特異性を指摘されたため、追加の確認実験をおこない、特異性に疑いないこと、他の研究者が用いている市販抗体よりも特異性において優れていることがわかった。論文は再度の投稿準備中である。 また28年度にはSer269の脱リン酸化について注目した解析をおこなった。Ser269がリン酸化された状態でもアクアポリン2は細胞内へ取り込まれるが、バソプレシン拮抗薬の投与により急激に脱リン酸化されることも事実であり、脱リン酸化酵素の重要性が示唆される。過去に脱リン酸化酵素であるカルシニューリンのノックアウトマウスではアクアポリン2のトラフィッキングに変化がおこることが示されていることから、カルシニューリンに注目した。5%グルコース-1%エタノール水溶液を一晩飲ませて水負荷状態にしたラットに、カルシニューリン阻害薬であるシクロスポリンを腹腔投与し、30分後にバソプレシン投与、さらにその30分後にバソプレシン拮抗薬を投与し、30分後に腎臓をサンプリングした。コントロールではバソプレシンでリン酸化されたSer269はバソプレシン拮抗薬投与後30分ではほとんどが脱リン酸化されるが、カルシニューリンが阻害されると脱リン酸化が抑制されると推測した。しかし実際にはシクロスポリン投与の影響は明らかとならなかった。例数が少ないことと、シクロスポリンがカルシニューリンを阻害したことが確認できていないことから、29年度はさらに検討をおこなう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、さらなる解析をおこなううえでもSer269リン酸化特異抗体が重要であるが、論文として投稿した際に特異性についての指摘を受け、確認実験に時間がかかってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
29年度は、引き続きSer269の脱リン酸化過程における脱リン酸化酵素カルシニューリンのはたらきについて検討をおこなう。過去の報告でカルシニューリンによってアクアポリン2の脱リン酸化がおこることが示されているが、生体内でどのような状況下でカルシニューリンが作用するか、また少なくとも4か所知られているセリンのうちの、どのセリンのリン酸化が影響を受けるかは不明である。28年度の解析では、カルシニューリンを阻害するためのシクロスポリン投与はバソプレシン投与30分前の1回のみとしていたが、シクロスポリンの効果が十分でなかった可能性が考えられるため、シクロスポリン投与の回数、タイミングについて条件を検討する。具体的には1回/日を5日以上続けて投与し、カルシニューリンのタンパク質量を低下させた状態をつくり、バソプレシン、バソプレシン拮抗薬の投与でSer269リン酸化の変化を検討する。さらに我々はSer256のリン酸化特異抗体も作製しているのでSer269とともにトラフィッキングに重要なSer256のリン酸化・脱リン酸化についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
補助事業期間延長申請が承認されたため
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品として使用する予定
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