1)カルパインはカルシウム依存性システインプロテアーゼであり,標的蛋白を修飾することにより種々の細胞機能に関与する。カルパインの骨格筋タイプであるカルパイン3の発現と局在をマウス顎下腺で調べたところ,カルパイン3のmRNA発現は思春期以後に雄の顎下腺で雌より高く,雌へのアンドロゲン投与で増加した。これは雄に発達する顆粒性導管細胞の産物に特徴的なパターンである。免疫組織化学により,カルパイン3は顆粒性導管部分に局在すること,顆粒性導管細胞の細胞質のサイトゾル部分に局在して分泌顆粒には存在しないことがわかり、同細胞における分化や分泌調節での役割が示唆された(論文1) 2)蛋白質分解酵素の阻害物質セルピンファミリーの一員であるセルピンb6aのマウス顎下腺における発現と局在を調べたところ、mRNA発現は雄で雌より高く、蛋白質は顆粒性導管細胞の核とサイトゾル部分に局在して分泌顆粒には存在しなかった。また顎下腺においてセルピンb6aと結合する相手酵素を免疫沈降法と質量分析により調べたところ、顆粒性導管細胞の分泌顆粒に存在するカリクレイン関連ペプチダーゼ1b26であることがわかり、セルピンb6aがカリクレインを不活化して細胞を保護していることが示唆された(論文印刷中)
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