研究課題
本年度は主に一次繊毛と形態形成の関係のin vivoでの解析、ならびに繊毛症候群の遺伝子発現系を用いた実験を行なった。具体的には、 (1) in utero電気穿孔法による細胞標識追跡系を用いた神経幹細胞移動の動態解析、 (2) 繊毛症候群患者で見られる繊毛関連分子変異体の発現系を用いた実験である。(1) 平成27年度と同様in utero電気穿孔法を用いて胎生14齢のマウス脳室下帯の神経幹細胞にEGFPを発現させるベクターを導入し、その細胞動態を観察した。繊毛形成を阻害した場合には、脳室から脳軟膜表面への細胞移動が遅延すること、それに伴って細胞分化パタンが変化することをin vivoで確認し、データを蓄積した。(2) 繊毛症候群の一つでありジュベール症候群関連疾患 (Joubert syndrome related disease, JRD) の亜型として知られる有馬症候群患者の遺伝子変異体Cep290をHeLa細胞で発現させ、繊毛形成への影響を検討した。発現量が多い場合には対照群と比較して基底小体以外への細胞内局在が見られる場合が多く、繊毛長短縮との関係を検討中である。全体を通じて繊毛形成と細胞移動の関係、繊毛関連分子の異常と繊毛長の関係が明らかとなったが、その分子機構に関しては更に解析がj必要である。
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Cell Signaling
巻: 28 ページ: 572-84
10.1016/j.cellsig.2016.02.018.