本研究代表者らは、これまでに種々のがんにおいて、インフラマソーム構成分子ASCの発現量が、がんの悪性度と相関して低下することを報告した。しかし、ASCとがんの悪性化を結びつける分子機構には不明な点が多い。本研究では、ASCの発現量低下が、がん細胞の形質に及ぼす影響について解析するため、マウスメラノーマ細胞株B16BL6を用いてASCノックダウン細胞を作成した。この細胞について種々の解析を行ったところ、転移能の亢進を認めた。さらに、この分子機構を詳細に解析し、がん細胞でのASCの発現量低下が、Src-カスパーゼ8経路の活性化を引き起こし、細胞運動能を亢進させるというASCの新たな側面を見出した。
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