研究課題
今年度、分化モニターシステムとしてNKX2.1::tdTomatoとNKX2.2::EGFPを連結させたデュアルモニターシステムを構築し、21HACベクターに搭載することに成功した。これにより、それぞれ単独のモニターシステムと合わせて3種類のモニターシステムを21HACベクターに搭載できたことになった。これらのモニターシステムが正常に作動するか確認する目的で、NKX2.1及びNKX2.2を発現しているヒトグリオーマ細胞株U87MGにそれぞれの21HACベクターを、麻疹ウィルス融合タンパクを用いた微小核細胞融合法により染色体導入した。得られた導入クローンを解析した結果、21HACベクターに搭載したtdTomato由来の赤色蛍光、EGFP由来の緑色蛍光を検出できたことから3種類の21HACベクターは期待した性能を発揮していることが確認できた。また、遺伝子発現解析によっても同じ結果が確認され、セルソーターによるソーティングも問題なく行えたことから、分化モニター用21HACベクターが完成したと判断した。完成した3種類のモニターシステムを、ヒトiPS細胞から樹立した神経前駆細胞へ上述の微小核細胞融合法により導入を試みたが、融合効率が低く、現在までのところ導入クローンを得ることが出来ていない。ヒト多能性幹細胞から神経前駆細胞への分化誘導法については、凝集体形成時の細胞密度を5倍に高めることにより、良好に分化誘導することに成功した。
3: やや遅れている
目的とした3種類の21HACベクターは全て完成し、動作確認の結果も良好であったが、これら21HACベクターの神経前駆細胞への導入が未達だったため。
神経前駆細胞はニューロスフェアーとして継代可能であるが、21HACベクター導入のための微小核細胞融合を浮遊状態で行うため、融合効率が低いと考えられる。ヒトES/iPS細胞は微小核細胞融合の実績があるので、今後は、神経前駆細胞ではなくヒトES/iPS細胞に分化モニター用21HACベクターの導入を行い、導入クローンを樹立後、一連の神経分化誘導を行うことにする。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 備考 (1件)
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http://saiboukougaku.jimdo.com/