研究課題/領域番号 |
26460276
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
江頭 恒 熊本大学, 自然科学研究科, 准教授 (40359964)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 細胞分化 / mRNAの翻訳阻害 / 翻訳抑制因子Pdcd4 / RNA結合タンパク質RBM3 / 遺伝子発現の転写後制御 / 分化抑制因子 / 増殖促進因子 |
研究実績の概要 |
本研究では、翻訳抑制因子Pdcd4による標的mRNAの翻訳阻害が細胞分化を誘導する分子機構を解明し、神経、筋肉の分化におけるPdcd4の生理的役割を明らかにして神経、筋肉の再生医療への応用に展開する基盤となることが目的である。この研究目的を達成すべく策定した具体的な内容は、以下の通りである。1)神経、筋肉の分化におけるPdcd4の生理的役割を個体レベルで解析する。2)細胞分化の引き金を引くPdcd4の高発現誘導機構を解明する。3)Pdcd4が細胞分化を誘導する分子機構を解明する。 平成27年度は、以下の研究内容を実施し、研究成果を得た。1)Pdcd4の条件付きトランスジェニックマウスを用いてPdcd4の高発現が細胞分化に及ぼす影響を解析するために、3種類のトランスジーンをそれぞれもつ変異マウスを作製し、それらを交配させて条件付きトランスジェニックマウスを作出しつつある。どうしても時間がかかるステップであるが、順調に進捗している。2)平成26年度に引き続き、Pdcd4の発現調節機構を解明するために、細胞レベルで様々な解析を行った。その結果、RNA結合タンパク質RBM3によるPdcd4遺伝子発現の転写後制御がPdcd4の高発現を誘導し、細胞分化をもたらすことを明らかにした。多大な研究成果が得られ、現在学術論文への発表を準備しているところである。3)Pdcd4による標的mRNAの翻訳阻害が細胞分化を誘導する分子機構を解明するために、RNAの免疫沈降とRNAシーケンスとの組み合わせで単離されたmRNAがコードするタンパク質の細胞分化における機能を解析している。おおむね順調に進捗している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、1)、3)の実験のように多少時間がかかっているが、当初の研究計画より確実に遂行し、予想以上の研究結果をもたらしている。したがって、本研究課題の現在までの達成度は、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、当初計画していた内容を下記のように推進する。1)Pdcd4の条件付きトランスジェニックマウスを作出し、Pdcd4の高発現が細胞分化に及ぼす影響を個体レベルで解析する。2)Pdcd4の発現制御機構については、実験を完了させ、新たな知見を学術論文として発表する。3)Pdcd4による細胞分化の誘導機構については、詳細な解析を行い、大きく進展させる。4)これまでの研究成果を踏まえ、Pdcd4を用いた再生医療の基盤を築く基礎研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に前倒しで使用した予算で購入した物品で、平成27年度の研究の一部が遂行できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度の予算と合わせて効率良く使用し、研究を遂行する。
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