PKRは直接的抗ウイルス作用の他、gelsolinとの結合を介して細胞膜の安定性を高め、ウイルス等の侵入を防御する。本申請はPKRの正常な細胞膜構造維持への関与を明らかにする目的で、発達した微絨毛を持つ小腸吸収上皮細胞に着目し、分子形態学的解析を行った。その結果、PKRとgelsolinが細胞質で結合していること、両者は広範囲の小腸上皮に発現し、絨毛と陰窩で発現量に差があることを明らかとした。また、PKRノックアウトマウスで絨毛の形態およびvillinの発現に差が見られ、PKRが絨毛形成に重要であることが示された。さらに、変異PKR導入用ウイルス作製と小腸器官培養系の樹立を行った。
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