研究課題/領域番号 |
26460292
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
吉岡 和晃 金沢大学, 医学系, 助教 (80333368)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 細胞内小胞輸送 / 血管内皮細胞 / PI3キナーゼ / ノックアウトマウス / PI(3)P ホスファターゼ |
研究実績の概要 |
ホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)ファミリー(クラスI,II,III)は細胞膜においてリン脂質のイノシトール環3位をリン酸化する酵素であり、クラスI は受容体シグナル伝達、クラスIII はオートファジーにおいて重要な役割をはたす。応募者は、機能が不明であったクラスII 型PI3K が、血管内皮においてリン脂質PI(3)P を産生することによってメンブレン・トラフィックを制御し、内皮機能に必須であることをノックアウトマウス技術を駆使して解明した。細胞内膜のPI(3)P レベルは、PI3K のみならずPI(3)P ホスファターゼによって決定される。しかし、PI(3)Pホスファターゼの実体は不明である。 本研究では、細胞生物学、マウス個体生物学等の幅広い技術を駆使して、PI(3)P ホスファターゼを同定してその作動機構を明らかにし、内皮におけるPI(3)P を介したメンブレン・トラフィック制御機構の全貌の解明を目指し開始した。初年度は、PI3K-C2α活性産物・PI(3)P を脱リン酸化するミオチュブラリン(MTM)酵素アイソフォームの同定を試みた。その結果、16種存在するMTM アイソフォームのうちMTMRxが血管内皮細胞のエンドソームに局在し、PI3K-C2αによるPI(3)P を特異的に分解するMTM アイソフォームである可能性が高いことを突き止めた。血管内皮細胞において、脂質リン酸化酵素・C2αと脱リン酸化酵素・MTMRは強調して働き、細胞内膜小胞上でPI(3)Pレベルを調節することによって、血管内皮細胞の細胞内小胞輸送を制御して血管内皮機能(細胞遊走、バリア機能等)の恒常性を維持していることが強く示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度計画した実験項目は予定通り行われた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、以下の項目について検討する。 1.血管内皮細胞におけるPI(3)P 代謝酵素・C2α-MTMx 系による内皮バリア形成、恒常性維持機構の解析: MTM4 全身型KO および内皮特異的(VEcad-CreER:タモキシフェン誘導型)CKO マウスの表現型を明らかにする。 2.内皮機能障害型「動脈硬化」発症プロトコールの確立し、C2αKO における内皮機能障害に及ぼすMTMx遺伝子欠損の影響を明らかにする。 以上により、PI3K-C2αKO マウスで見られた内皮バリア機能障害とそれに起因する血管障害においてMTMx がどのように役割を持っているか明確になる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度中に当初計画していた「血管バリア機能を調節するVEカドヘリンの膜小胞輸送、及び膜小胞上での低分子量Gタンパク質活性化におけるPI3KC2αーMTM系の役割」は、実験に必要な発現プラスミド構築に時間を要しており、本実験を次年度に遂行することとした。
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次年度使用額の使用計画 |
上記実験項目の遂行に必要な発現プラスミド構築において、より高効率な遺伝子組換えキット(クロンテック社製InFusionシステム,タカラバイオ)に変更し、発現プラスミド構築後に本実験を試みる。
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