リポソームに再構成したシンタキシンへのシナプトタグミン結合:当初は、蛍光標識したTスネアへテロ二量体を透析法によりリポソームに組込む予定であったが、再構成率が低かったためアセトン沈降法に変更した。リポソームに再構成したTスネア中のシンタキシンにシナプトタグミンが結合するか調べたところ、S188CおよびS249C変異シンタキシンのいずれもシナプトタグミンの細胞質フラグメントと等モル以上の比で結合し、アセトン処理後もシナプトタグミン結合能を保持していることが示された。
スネア複合体形成に及ぼすシナプトタグミン結合の影響:シンタキシンへのシナプトタグミン結合がスネア複合体形成に及ぼす影響を調べた。Cy3で蛍光標識したシンタキシンを含むTスネアリポソームを、シナプトタグミン細胞質フラグメント存在下および非存在下で、Cy5標識シナプトブレビン細胞質フラグメントと反応させた。シナプトタグミン存在下でのアミノ末端標識ペアのFRET効率は非存在下と同程度であった。シナプトタグミン存在下でのカルボキシ末端標識ペアのFRET効率は非存在下に比べ約20%低かったが、有意差は認められなかった(p=0.06)。カルボキシ末端標識ペアのシンタキシンおよびシナプトブレビンの蛍光標識部位はともにスネアモチーフの第6層と第7層の間に位置することから、シナプトタグミンが結合しても、スネア複合体は少なくともモチーフの第6層まで会合していることが示唆された。
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