研究課題
インスリンは、約10%の求心性迷走神経に直接作用し、その情報を脳に伝達する。そして、インスリンに応答する約10%の求心性迷走神経サブクラスは、腸ホルモンのGLP-1にも応答する。そして、低濃度のインスリンとGLP-1は、相加/相乗的にこの求心性迷走神経サブクラスを活性化することを見出した。インスリンが活性化する求心性迷走神経は、GLP-1によっても活性化されることが、in vitro実験より明らかとなった。そこで、求心性迷走神経のGLP-1受容体を臓器特異的にノックダウンさせたラットを作成し、内因性GLP-1分泌促進剤による生理作用(摂食抑制亜用)に対するGLP-1受容体発現求心性迷走神経の役割を検討した。希少糖のアルロースはGLP-1を強力に分泌させることを明らかとした。そして、アルロースの経口投与は、強い摂食抑制作用を誘導した。GLP-1受容体のshRNAを発現するアデノ随伴ウイルスを求心性迷走神経の細胞体に局所投与することで、求心性迷走神経特異的にGLP-1受容体をノックダウンさせたラットを作成した。アルロースによる摂食抑制は、求心性迷走神経特異的にGLP-1受容体をノックダウンさせると、完全に消失した。従って、GLP-1受容体発現求心性迷走神経の活性化は強い摂食抑制作用を誘導させることが明らかとなった。そして、in vitro実験において、GLP-1受容体発現求心性迷走神経はインスリンによっても活性化されることより、インスリンによるGLP-1受容体発現求心性迷走神経サブクラスの活性化も、摂食抑制を誘導することが推測された。
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