研究課題
本研究は、がん細胞のネクローシス(壊死)とアポトーシスを制御する因子を同定し、その腫瘍生物学的な意義を明らかにすることで、がん分子標的として応用可能な因子を見出すことを目的としている。平成28年度は以下の研究成果を得た。(1)前年度までの研究から見出しているネクローシス細胞またはアポトーシス細胞から細胞外に漏出されるタンパク質について機能解析を行った。ネクローシス細胞から漏出されるタンパク質を種々のヒト培養がん細胞に添加して、その表現型を調べた結果、ネクローシス様の細胞死を起こすがん細胞があることがわかった。(2)これまでの研究から見出している細胞死制御性マイクロRNA(microRNA, miRNA)について、合成miRNAまたは特異的なmiRNA inhibitorを用いて各種ヒト培養がん細胞に対する抗がん効果を検討した。また、miRNAとRNAの結合を阻害する候補化合物の探索を行った。(3)細胞死モデル細胞(マウス乳がんFM3A細胞F28-7株及びF28-7-A株)の全エクソンシークエンスを行い、ネクローシスとアポトーシスの細胞死切替えに関与する遺伝子の変異有無について解析した。データ解析からネクローシスを起こす細胞またはアポトーシスを起こす細胞に特有の遺伝子変異を見出した。また、これまでの研究から見出している細胞死制御因子(lamin-B1, cytokeratin-19, ATF3, HSP90)の変異有無についても重点的に調べた。今後、本研究から見出した変異遺伝子について、ネクローシスとアポトーシスの細胞死制御における役割を精査したい。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (22件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
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