研究課題/領域番号 |
26460315
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
高鶴 裕介 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30446265)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脳梗塞 / アストロサイト / 神経回路再編成 / 2光子励起レーザー顕微鏡 |
研究実績の概要 |
体性感覚野における局所脳梗塞からの回復期における健常半球を用いた機能代償について研究を続けている。本研究課題ではこのうち、健常半球のグリア細胞に注目して研究を続けている。機能代償の経過中、グリア細胞の一種であるアストロサイトの働きが一時的に活性化することが重要であることをこれまでに報告しており、特に1週間目における変化と、それに伴う慢性期の変化に焦点を当てて研究を行った。 本年度までの研究で、脳梗塞後1週間目で特異的に、健常半球のドパミン放出が増加しており、この時期にドパミン受容体の阻害剤であるハロペリドールを投与すると、健常半球の神経再編成による機能代償が起こらなくなることを発見した(Amano et al., under review)。 また、これまで、脳梗塞後2週間目で機能代償が完了すると考えられていたが、脳梗塞後4週目で健常半球の脳地図が崩壊していることを発見した(通常、1領域は1肢からの応答を受けるが、1領域が四肢すべての応答を受ける)。この変化はドパミンのパーシャルアゴニストであるアリピプラゾールを脳梗塞後2週間目以降で投与すると抑制できることが分かった。一方、そもそもドパミンの放出が増加している脳梗塞後1週間目前後でアリピプラゾールを投与しても、脳地図の崩壊は抑制できなかった(Obi and Takatsuru under preparation for submit)。 これらの変化にグリア細胞の働きが関連している可能性が考えられるため、現在、in vivo Ca2+ imaging法によりアリピプラゾール投与時の神経細胞およびグリア細胞の活動性の変化を観察中である。また今年度はグリア細胞の働きを間接的に計測できうる酸素濃度感受性プローブを用いたin vivo imagingにも成功している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況はおおよそ予定通りであるが、成果の報告(論文発表)がやや滞っている。昨年度中に採択を目指していたものが2誌からrejectされてしまったため、現在追加実験を継続している。一方、研究成果としてはおおよそ必要なデータが出そろってきており、最終年度中に2、3報論文報告できる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
残りのin vivo imagingおよび電気生理実験を速やかに行う。分子生物学的実験はおおよそ終了しており、夏をめどに2報投稿する。 平成28年度は3か年計画の最終年度に当たるため、査読の進捗状況によって、投稿する雑誌のグレードを考慮する。
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