研究実績の概要 |
脳梗塞後の機能回復における健常半球の役割および、それに関連するアストロサイトの役割、ならびにその機能を補助する因子・薬理修飾の可否について研究を行った。最終年度はこれまでの研究の総括を行うための実験およびデータ解析、成果まとめを行った。前年度までの研究で、脳梗塞後の機能回復において神経伝達物質の一つであるドパミンの働きが重要であることがわかたっため、そのアゴニストの一つであるアリピプラゾールを投与する実験を行った。同薬剤の連続投与は神経及びグリア細胞の働きを賦活することが2光子励起レーザー顕微鏡を用いたin vivo Ca iamging法により明らかになった。また、同薬剤の連続投与により、特に慢性期の健常半球における神経回路回復が補助されることが分かった(以上、ヨーロッパ神経科学学会10th FENSにてポスター発表を行った。またObi et al., 論文作成中)。 また、イリジウム錯体の一つであるBTPDM1と2光子励起レーザー顕微鏡を用いたin vivo imaging法を用いて脳内の酸素動態評価を行ったところ、老齢動物における酸素予備能力の低下を見出すことができた。具体的には老齢動物ほど高濃度酸素投与後の脳内酸素濃度の低下が早く起こり、体性感覚刺激後の低酸素スパイクが起こりやすいことを明らかにした(Takatsuru et al., 論文作成中)。 これらの成果を踏まえて、脳梗塞後の機能回復期におけるアリピプラゾールの薬理効果を、今後さらに明らかにする予定である。
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