研究実績の概要 |
弓状核から投射するkisspeptin (KISS), neurokinin B (NKB), dynorphinを共発現する KNDyニューロンの免疫陽性線維の分布は、室傍核まで達する。最初に、室傍核より尾側の領域にあるプロラクチン分泌制御性ドーパミンニューロンに対し、KISS, NKB 陽性線維が近接することをラットおよびマウスで示し論文報告した(Neuroscience Research, 2014)。このことは齧歯類で共通に、弓状核だけでなく脳室周囲沿いのプロラクチン分泌制御性ドーパミンニューロンの活動に KNDyニューロンが作用する可能性を示した。一方、KISS, NKB 陽性線維はその先の室傍核の脳室周囲核および吻側の背内側核を中心に分布することが分かった(学会発表)。これらの亜核にはthyroliberin (TRH) ニューロンが分布しており、二重免疫組織染色によってTRHニューロンの細胞体へKISS, NKB 陽性線維が近接することを示す事ができた。次に、TRHニューロンがKISS, NKB に対する受容体を発現していることを検証するために、レーザーマイクロダイセクションによるTRHニューロン集団のシングルセル回収を行い、KISS, NKB に親和性のある受容体遺伝子 kiss1r, npff1r, npff2r, tac2r, tac3r のプライマーによるPCR解析を行った。結果、TRHニューロンには少なくとも npff1r, tac3rが発現していることが示唆された。Trh遺伝子の発現はエストロゲンによって減少することが報告されているが、TRHニューロンはエストロゲン受容体をほとんど発現しないため、KNDyニューロンはその間接伝達経路である可能性がある。
TRH
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