マウス副嗅球スライス標本を作製し、全細胞記録法を用いて僧帽細胞-顆粒細胞間相反性シナプス伝達(IPSC)に対する各種薬物の効果を調べた。行動薬理学的実験からフェロモン記憶に関与することが示唆されているバゾプレシンがIPSC抑制作用を有することを見出した。 バゾプレシン受容体サブタイプの特異的阻害薬や作動薬を用いて調べた結果、バゾプレシンのIPSC抑制作用はV1a受容体を介して生じることが示唆された。僧帽細胞のGABAに対する応答を調べたところ、バゾプレシンの作用点はGABA作動性シナプス後膜ではないことが示唆された。以上からバゾプレシンの作用点をシナプスレベルで明らかにした。
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