研究課題/領域番号 |
26460325
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
明間 立雄 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (60128585)
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研究分担者 |
藤原 清悦 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (10440322)
黒坂 光寿 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (40553970)
舩橋 利也 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 教授 (70229102)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ミクログリア / 海馬 / 可塑性 / 再固定 / 学習 / グルタミン酸受容体 / シナプス |
研究実績の概要 |
研究の目的は、ミクログリアによって、脳の高次機能の一つである海馬によって調節される学習機能が変容する事を明らかとし、その機序を解明することにあった。前年度までにラットを用いた検証を行ってきたが、別の研究で、空間及び時間特異的にミクログリアを除去できるCD11b-DTRマウスを手に入れた。CD11b-DTRマウスは、ミクログリア特異的(CD11bはミクログリアのマーカー)にジフテリア毒素(DT)受容体を発現し、DTを投与することで受容体発現細胞特異的に細胞死を誘導することが可能である。そこでより直接的な証明として、このマウスを用いることにした。まずマウスの受動的回避学習を解析する系を立ち上げた。受動的回避学習とはドアで隔たれた明るい部屋と暗い部屋の2連部屋からなり、動物を明るい部屋におくと速やかに暗い部屋に移動するが、暗い部屋に移動した時にドアをしめて床のグリッドから電気ショックを与える。その後再び明るい部屋に入れると受動的回避学習が成立しているので、明るい部屋に行かないものである。行動しないこと(明るい部屋に行かない)により電気ショックを回避する学習海馬依存性である事がわかっている。当初は、条件検討に困難を極めたが、受動的回避学習を解析する系を確立した。その結果、ラットとマウスでミノサイクリン投与による受動的回避学習の変容が異なることが示唆された。マウスの場合、ミノサイクリン投与によって受動的回避学習獲得過程には影響がなかったが、再強化の過程に抑制的に作用する可能性のあることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
遺伝子改変マウスの導入が遅れたことと、マウスの学習行動の解析法の確立がおくれたため。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子改変マウスは導入され、マウスの学習行動の解析法も確立したため、最終年度には間に合った。今後はこの方法を用いて、解析を進めていくことにより、当初の目的どおり、ミクログリアによって、脳の高次機能の一つである海馬によって調節される学習機能が変容する事が明らかとなると期待される。より直接的な証明となると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの行動解析法の確立に当初の予定より遅れたため、生化学的、また、電気生理学的な解析に遅れが生じた。また、消耗品を節約したため、次年度に繰り越せる消耗品費が生じた。また、旅費が他の予算から支出できたため、次年度に繰り越せるものが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は遅れをとりもどすべく研究し、実際、行動解析法は確立したので、消耗品費は、昨年度より遥かに多く必要と考えている。同時に、結果の発表や報告などに使用を計画している。
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