研究課題
リガンドが不明なオーファンGPCRでは、下流で相互作用するGタンパク質の種類が明らかでないことから、受容体の活性化状態をGタンパク質依存的なセカンドメッセンジャーの変化を通じて評価することは困難である。そこで、リガンド刺激により活性化された受容体の多くがβ-アレスチンと会合することを利用して、活性化受容体を特異的に検出する評価系(β-アレスチンアッセイ)を構築した。クラスAに属するおよそ90種類のオーファンGPCRの中で、ヒトとマウスの間でオルソログ対応が困難なMAS related gene受容体ファミリー、Trace amine受容体ファミリーを除いた70種類ほどの受容体を内因性リガンド探索研究の対象とした。β-アレスチンアッセイ用に独自に開発した受容体遺伝子発現ベクターに全てのオーファンGPCR遺伝子をクローニングし、オーファン受容体ライブラリーを構築した。実際にリガンドスクリーニングを開始する前に、β-アレスチンアッセイ系の汎用性を評価した。β-アレスチンアッセイ系をリガンドが既知である100種類ほどのGPCRに対して運用したところ、およそ半数の受容体で検出されるべきリガンド依存的な活性が検出されなかった。この予想外の結果を踏まえ、β-アレスチンアッセイ系に加えて、一つのアッセイフォーマットで全てのGタンパク質シグナルを評価できる汎用性の高いGタンパク質シグナル検出系の 開発を開始した。
3: やや遅れている
活性化受容体を特異的にモニターするβ-アレスチンアッセイの汎用性を種々のGPCRで検討したところ、およそ半数の受容体で検出されるべき活性が検出されなかった。この予想外の結果により、一つのアッセイフォーマットで全てのGタンパク質シグナルをモニターできるアッセイ系の確立をさらに試すこととなった。このため当初の計画よりプロジェクトの進行はやや遅れている。
GPCR下流のGタンパク質シグナルは、細胞内のcAMPやカルシウムの濃度を変化させる。しかしながら、オーファンGPCRでは、事前にそれらのセカンドメッセンジャーの挙動を予測できないので、複数のアッセイ系を併行して実施し、全てのGタンパク質シグナルを網羅的に調べる必要がある。この煩雑さを解消するために、一つのアッセイフォーマットで全てのGタンパク質シグナルをモニターできる汎用性の高いアッセイ系の開発を開始した。今後はこの開発中のアッセイ系とβ-アレスチンアッセイ系を併用しリガンドスクリーニングを進めていく。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 5件)
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