GRK2は多くのシグナル伝達ネットワークにおける統合ノード機能が明らかにありつつある遍在性キナーゼである.マウスに盲腸結紮穿孔(CLP)を行い敗血症を起こしたとき,GRK2阻害薬投与は急性肺傷害を軽減させた.敗血症の予後にも影響する敗血症性脳症(SAE)におけるGRK2の役割について検討したところ,ミクログリアにおいて,LPSによりGRK2の発現は増加し,CLPマウスにおいて,GRK2阻害薬の投与は,ニトロ化及び酸化ストレスを軽減させ,大脳皮質の組織病理学的変化を阻止した.それ故,GRK2を標的とした創薬の開発は,SAEなど敗血症病態への臨床応用に向けた新しい治療戦略の基盤として期待される.
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