研究課題
超小型ミニブタ(マイクロミニピッグ)を用いて、非侵襲的に高血圧および動脈硬化を呈するメタボリック症候群モデルの作製に成功した。具体的には、高脂肪・高コレステロール含有食(HFCD)および一酸化窒素合成酵素阻害薬Nω-nitro-L-arginine methyl ester(L-NAME)混餌飼料を投与し、食餌のみでのモデルを作製した。特殊飼料の投与前から2週間毎に最大8週間まで採血および心機能評価、頸動脈の血流・動脈硬化度を超音波装置にて評価した。HFCD投与により、血中総コレステロール(TC)値および低密度リポタンパク質(LDL)値は投与4週間でそれぞれ約3倍および4倍に上昇し、その後も高値で持続した。L-NAMEの投与はTC値やLDL値に影響を与えなかった。L-NAME投与群では投与2日後より血圧上昇が見られ、投与4週目以降、心エコー検査で左室肥大を認めたが、8週間で心機能の低下は認められなかった。HFCD+L-NAMEによりさらなる左室肥大を呈した。L-NAME 単独投与では大動脈の動脈硬化は観察されなかったが、HFCD+L-NAME投与は、HFCDのみによる大動脈の動脈硬化を促進させた。ブラジキニンによる血管弛緩反応はL-NAME投与により著明に低下しており、申請者が想定したモデル作製法が確立できた。
2: おおむね順調に進展している
超小型ミニブタを用いて非侵襲的に高血圧と動脈硬化を呈するモデルの作製を確立した。血中からのエキソソームの精製が非常に難しく、改良を加えている。ミニブタの単価が高いため、マウスモデルを確立しているが、研究はおおむね順調に推移している。
ミニブタの購入・飼育費が高額になるため、今後、高血圧・脂質異常症を呈するメタボリック症候群モデルとして、遺伝子改変マウスを用いる。具体的には、動脈硬化を来すことが知られているアポリポタンパク質E欠損マウスと高血圧・内皮障害を来すことが知られている内皮一酸化窒素欠損マウスを交配することでメタボリック症候群モデルを作製する。加齢に伴って動脈硬化が進行し、臓器障害を引き起こすのに合わせ、細胞間の情報伝達に重要な役割を担っていると考えられる血中のエキソソームの役割を調べる。
当初の計画に比べて、旅費の支出が少なくなったこと、人件費・謝金が発生しなかったため残金が生じたが、その分の予算は次年度に繰り越して使用する。
研究費は引き続き、実験動物購入・飼育費、試薬・薬品購入費、抗体購入費等の物品代に重点的に割り当てる。また、本研究に関連する学会への出張・参加費については、当大学の規定に従って適正に使用する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (8件)
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