致死率の高い大動脈解離の発症には血圧急上昇が関与している可能性がある。我々は、「大動脈壁の中膜を構成する血管平滑筋細胞に対する急激な伸展負荷が、細胞死を招いて大動脈解離を引き起こすのではないか?」という新規仮説を立てて研究を行った。培養ラット血管平滑筋細胞に急激な伸展負荷をかけ、細胞内の遺伝子発現変化をcDNAマイクロアレイで解析した。その結果、ケモカイン Cxcl1とCx3clの1発現上昇がみられた。これらケモカインを阻害すると血管平滑筋細胞死が増加したことから、ケモカインは動脈解離発症に予防的に働いている可能性がある。今後、ケモカインは動脈解離発症予防薬の開発標的になりうる可能性がある。
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