研究課題
Curcumineに関する基礎研究として、昨年度までに、GFP-LC3トランスジェニックマウスおよびラット新生仔心筋細胞を使って、心不全初期にCurcumineを投与すると心筋オートファジーが惹起され、抗がん剤による心筋アポトーシスや心機能の低下が抑えられ、かつ抗がん剤単独投与による死亡率を劇的に改善することを報告した。また、心不全が進行すると交感神経過緊張状態になることが知られるが、GFP-LC3を遺伝子導入した心筋細胞および浸透圧ポンプを皮下に植え込んだGFP-LC3トランスジェニックマウスを使って、自律神経過緊張状態では心筋オートファジーが惹起され心保護に働くとともに、その過程にはmTOR非依存性のAkt シグナルが関与し、心不全の進展には心筋代謝の制御が重要であることを示した。そこでこれらの成果をもとに、今年度は、心筋代謝に関わる次の二点を明らかにした。これらはがん化学療法における心筋障害を小さくする上でkeyとなる心筋代謝の改善という観点から重要な知見となった。まず、横行大動脈結紮による心不全動物モデル(TAC mice model)を使い、心不全の進展とともに脂質代謝を制御する転写因子Peroxisome proliferator-activated receptor α(PPAR-α)の発現が減少することを発見した。そこで次に、Tet-Off systemを使ってPPAR-αを惹起させたところ、心機能の有意な改善を認めた。また、心不全の進展においてあるミトコンドリア蛋白が減少することに着目し、この蛋白が心筋のアミノ酸代謝に関与することを発見、心筋代謝改善の新しいターゲットとしての可能性を示唆した。以上の2つの成果は、それぞれAm J Heart Circ PhysiolとSci Rep に発表した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
Sci. Rep.
巻: 7 ページ: 43911
doi: 10.1038/srep43911.
Am J Physiol Heart Circ Physiol. 2017
巻: 312(2) ページ: H305
doi: 10.1152/ajpheart.00553
Bul Tenri Heal Car
巻: 4(1) ページ: 33