研究課題/領域番号 |
26460351
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
岩本 隆宏 福岡大学, 医学部, 教授 (20300973)
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研究分担者 |
藤井 誠 福岡大学, 医学部, 講師 (30398086) [辞退]
後藤 雄輔 福岡大学, 医学部, 助教 (90609489)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | イオン輸送体 / マグネシウム / 病態モデル |
研究実績の概要 |
Mg2+は生体機能の調節と維持に必須の2価カチオンである。実際に、Mg2+欠乏やMg2+代謝異常は、高血圧症や虚血性心疾患、不整脈、胃腸疾患、骨格筋不全など、様々な疾患に関係することが知られている。近年、Mg2+輸送体の様々な分子実体(候補遺伝子)が報告されているが、それらのMg2+制御機構、生理学的役割および病態学的意義については未だ不明な点が多い。本研究では、生理学的に重要なMg2+輸送体を特定する目的で、C57BL/6Jマウスに正常マグネシウム食、低マグネシウム食もしくは高マグネシウム食を4週間摂取させて、各種臓器(大動脈、心臓、腎臓、小腸)におけるMg2+輸送体候補遺伝子の発現変化を調べたところ、TRPM7(Mg2+透過チャネル)と同様に、SLC41A1およびSLC41A2がマグネシウム摂取量依存性に発現変化を示すことを見出した。これら3群のマウスでは、血中Mg2+濃度および尿中Mg2+排泄量がマグネシウム摂取量に相関して有意に変動していた。また、摘出大動脈標本のフェニレフリン収縮反応を比較したところ、低マグネシウム食群ではMg2+欠乏による血管反応性の低下が観察された。さらに、SLC41A1およびSLC41A2の生体Mg2+制御における機能的役割および病態学的意義を明らかにする目的で、両者の遺伝子欠損マウスを作出した。得られたSLC41A1、SLC41A2ホモ欠損マウスはともに成獣まで成長し、各種臓器で標的遺伝子を特異的に欠損していることを確認した。これらホモ欠損マウスでは、マグネシウム摂取量依存性の血中Mg2+濃度の変動が野生型マウスと明らかに異なっており、SLC41A1およびSLC41A2は生理学的に重要なMg2+輸送体であることが推定された。また、興味深いことに、SLC41A2ホモ欠損マウスでは血管反応性の低下および腎機能の低下が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画に基づいて、SLC41A1およびSLC41A2の遺伝子欠損マウスを作出し、それらの特性解析より、これら遺伝子が血管機能や腎機能と関係する重要なMg2+輸送体であることを実験的に示した。
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今後の研究の推進方策 |
SLC41A1およびSLC41A2と各種病態との関係を明らかにするため、両遺伝子欠損マウスを用いて、心肥大・心不全モデル、高血圧モデル、血管肥厚モデル、腎不全モデルを作製し、各種臓器の形態的・機能的変化を解析する(病態形成に対する感受性・抵抗性の評価)。さらに、これら病態モデルから、摘出心筋・血管標本および単離心筋・血管平滑筋・腎上皮細胞を調製し、各種細胞機能を解析する。また同時に、種々蛍光プローブを用いて、細胞内Ca2+濃度および細胞内Mg2+濃度をイメージング解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に共焦点顕微鏡スキャナシステム(蛍光イメージング装置)を共同購入するために、平成27年度経費より40万円を前倒し支払請求したが、本装置の納品が当初予定の平成26年11月から平成27年2月に業者の都合により延期となったため、本装置で使用予定の消耗品(蛍光イメージング試薬)の購入が平成27年度に一部ずれ込み、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、遺伝子改変マウスの病態機能解析を実施するため、その目的で使用する実験動物代、動物飼育装置、実験試薬(測定キット、蛍光イメージング試薬)などに経費を使用する。また、研究成果を発表する学会出張費や論文掲載費にも使用予定である。
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