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2014 年度 実施状況報告書

ストレス応答型転写因子Nrf2の新規生理機能の発見

研究課題

研究課題/領域番号 26460354
研究機関東北大学

研究代表者

鈴木 隆史  東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70508308)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードNrf2 / Keap1
研究実績の概要

転写因子Nrf2はストレス刺激に応答して誘導的に生体防御遺伝子群を活性化する。Nrf2の抑制因子Keap1の欠失マウスでは恒常的Nrf2活性化により様々な生体防御遺伝子群を活性化するが、同時に食道扁平上皮過角化による摂餌障害のため致死になる。このことは、恒常的Nrf2活性化は生体防御能亢進だけでなく細胞運命決定にも大きな影響を与えることを示唆する。しかし、Keap1欠失マウスは生後間もなく死に至るため食道以外の他組織における解析が進まなかった。そこで本研究では、扁平上皮特異的Nrf2欠失によってKeap1全身欠失マウスの致死性を回避し、扁平上皮以外の組織においてNrf2活性化が及ぼす影響を明らかし、Nrf2による新たな生理機能発見を目指す。平成26年度は全身Keap1欠失マウスの致死性を回避するため、全身Keap1欠失かつ扁平上皮特異的Nrf2欠失マウスの作製に成功した。このマウスは、食道の過角化が改善され、成獣まで生存可能になることがわかった。しかし、食道の表現型が改善されたにも関わらず、顕著な発育不全が観察され、著しく生存率が悪いことがわかった。さらに、この食道以外全身Nrf2活性化マウスの尿は浸透圧の低く量が著しく増加することから水再吸収能が低下していることが考えられた。さらに、このマウスの腎臓は髄質部分が退縮し腎構造が失われていることがわかった。今後、遺伝子発現解析や血液生化学などの解析により、腎臓の表現型の原因を探る。また、腎尿細管特異的Keap1欠失マウスを作製し、食道以外全身Nrf2活性化マウスの腎臓の表現型が再現されるか検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画通り、食道以外全身Nrf2欠失マウスの作製に成功し、期待通り生存可能なマウスになることを明らかにすることができた。また、恒常的Nrf2活性化による新規表現型を見出すことにも成功した。

今後の研究の推進方策

これまでの解析から、恒常的Nrf2活性化による新規表現型として腎臓の表現型を見出すことに成功した。今後、Nrf2活性化がなぜ腎臓の表現型が現れるのか明らかにするために、遺伝子発現解析や血液生化学の解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

H26年度に遺伝子発現解析を行う予定だったが、十分な解析を行うことができなかったため、この遺伝子発現解析に必要な試薬等の費用は次年度に行うことにしたため。

次年度使用額の使用計画

遺伝子発現解析を行うために必要な試薬等を購入予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Myeloid lineage-specific deletion of antioxidant system enhances tumor metastasis.2014

    • 著者名/発表者名
      Hiramoto K, Satoh H, Suzuki T, Moriguchi T, Pi J, Shimosegawa T, Yamamoto M.
    • 雑誌名

      Cancer Prevention Research

      巻: 7 ページ: 835-844

    • DOI

      10.1158/1940-6207.CAPR-14-0094.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Keap1 inhibition attenuates glomerulosclerosis2014

    • 著者名/発表者名
      Miyazaki Y, Shimizu A, Pastan I, Taguchi K, Naganuma E, Suzuki T, Hosoya T, Yokoo T, Saito A, Miyata T, Yamamoto M, Matsusaka T.
    • 雑誌名

      Nephrology Dialysis Transplantation

      巻: 29 ページ: 783-791

    • DOI

      10.1093/ndt/gfu002

    • 査読あり
  • [学会発表] Keap1 Cys273 and Cys288 are functional sensors for 15d-PGJ2 to activate Nrf2 signaling.2015

    • 著者名/発表者名
      9.Takafumi Suzuki, Ryota Saito, Kei-ichiro Hiramoto, Tatsuro Iso, Masayuki Yamamoto.
    • 学会等名
      The Keap1/Nrf2 Pathway in Health and Disease
    • 発表場所
      Robinson College, Cambridge, UK
    • 年月日
      2015-01-06 – 2015-01-08
  • [学会発表] Multiple Sensor Mechanism of the Keap1-Nrf2 System.2014

    • 著者名/発表者名
      8.Takafumi Suzuki, Kai Takaya, Ryota Saito, Keiichiro Hiramoto, Tatsuro Iso and Masayuki Yamamoto.
    • 学会等名
      Symposium for young ubiquitin researchers in Japan “New Era in the Ubiquitin Research”
    • 発表場所
      京都、国際高等研究所
    • 年月日
      2014-11-11 – 2014-11-12
  • [学会発表] 転写因子Nrf2による炎症性サイトカイン遺伝子の発現抑制2014

    • 著者名/発表者名
      小林枝里, 鈴木隆史, 舟山亮, 長嶋剛史, 中山啓子, 山本雅之
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都、国立京都国際会館
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] 複合遺伝子欠失レスキュー法による転写因子Nrf2の新規生理機能探索2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木隆史、平本圭一郎、長沼絵理子、高橋信行、佐藤博、山本雅之
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都、国立京都国際会館
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] CRISPR/Cas9システムを用いたNrf2点変異マウスの作製2014

    • 著者名/発表者名
      守田匡伸、大槻晃史、鈴木隆史、須田博美、鈴木未来子、清水律子、山本雅之
    • 学会等名
      第87回日本生化学会大会
    • 発表場所
      京都、国立京都国際会館
    • 年月日
      2014-10-15 – 2014-10-18
  • [学会発表] 転写因子Nrf2の遺伝子発現量の重要性2014

    • 著者名/発表者名
      鈴木隆史、柴田龍弘、高屋快、本橋ほづみ、山本雅之
    • 学会等名
      日本生化学会東北支部 第80回例会
    • 発表場所
      秋田、アキタパークホテル
    • 年月日
      2014-05-10 – 2014-05-10

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公開日: 2016-05-27  

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