研究課題
膵内分泌細胞とくにインスリン産生細胞であるβ細胞の発生および分化成熟の分子メカニズムを明らかにすることは、糖尿病に対するβ細胞自身による細胞療法を実現するために、必要不可欠な研究課題である。本研究課題では、膵内分泌細胞における大Maf群転写因子、特にMafAとMafB遺伝子のβ細胞における機能の類似点と相違点を明らかにした。すなわち、MafA遺伝子欠損マウスとβ細胞特異的MafB遺伝子欠損マウス、MafA(-/-)MafB(+/-)マウスの3系統の比較を行なって、MafA遺伝子はβ細胞の発生に関与しないものの機能的成熟に重要な役割を有すること、逆にMafB遺伝子はβ細胞の正常発生に重要であるものの、MafB単独では成獣において明らかな機能を有さないことを明らかにした。一方で、MafA(-/-)MafB(+/-)マウスは、MafA単独欠損マウスと比較して、より重篤な高血糖を示したことから、病的状態において、MafBは、MafA機能を補完することが明らかとなった。一方で、大Maf群転写因子の治療応用を目的として、他のβ細胞関連遺伝子とともに,肝臓細胞にMafAを遺伝子導入したところ、遺伝子導入後2週以上に渡ってインスリン発現を誘導することが可能であった。MafAの代わりにMafBの遺伝子導入を行なったが、そのβ様細胞誘導効率は、MafAの方が優れていた。さらに、β様細胞誘導の効率を高めるために、遺伝子導入後のβ様細胞と真のβ細胞の発現遺伝子の比較を網羅的に行なって、これまで明らかになっていない新規のβ細胞関連転写因子を同定した。この新規遺伝子を他のβ細胞関連遺伝子とともに肝臓に遺伝子導入して、これまで以上にインスリン発現量が高まることを確認した。
すべて 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 備考 (1件)
Exp Anim
巻: 65 ページ: 319-327
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PLoS One
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http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/w3med/labo/byotai.dir/index.html