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2015 年度 実施状況報告書

nucleoredoxinによるグルコース代謝経路の制御

研究課題

研究課題/領域番号 26460364
研究機関大阪大学

研究代表者

船戸 洋佑  大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (60505775)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードnucleoredoxin / 代謝
研究実績の概要

本研究は、チオレドキシンファミリー分子nucleoredoxin (NRX) によるグルコース代謝経路の制御機構と、その役割を追求することを目標としている。平成27年度は、NRX欠損MEF細胞やそこから樹立したがん化細胞株について、その性質を明らかにすることなどを計画していた。その一環として、野生型およびNRX欠損MEF細胞を用いたメタボローム解析を行っている。それぞれ2つの独立した細胞株を用い、一貫した傾向が見受けられるものを探索した。その結果、乳酸など、いくつかの代謝物の量がNRX欠損細胞で有意に低下していた。乳酸はNRXによって活性が制御されるPFKの下流に位置しており、NRXがPFKの活性を正に制御しているという、これまでの結論と合致するものであった。また同様にPFKの下流にあるピルビン酸やクエン酸などの代謝物もNRX欠損細胞で低下傾向にあった。一方で、PFKの上流で分岐するペントースリン酸経路の代謝物であるリブロース5リン酸の量は増加傾向にあった。これらの実験結果により、NRXがPFKの働きを制御しており、NRXの欠損はペントースリン酸経路へのシフトを引き起こすというこれまでの結論がより強固なものとなった。また、他にもNRX欠損細胞ではグリシンの量が有意に増えており、一方でリン酸化セリンの量が低下していた。この結果はNRX欠損MEFではセリン代謝経路の働きが変化していることを示唆するものであり、NRXがPFK以外のターゲット分子を介して、代謝を変容させている可能性を想起させるものと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

NRXの欠損によってグルコース代謝経路が変わる、その全体像を本年度の解析によって明らかにできた。また同時に、これまで明らかにしてきたPFKを介した制御のほかに、未知のターゲット分子を介してNRXが代謝を制御している可能性が浮かびあがってきており、今後のさらなる展開が望める。

今後の研究の推進方策

上述のように、NRXの欠損細胞ではさまざまな代謝様式の変化がおこっており、この現象のさらなる追究に加えて、がんとの関わりなど、その医学・生物学的意義を明らかにしていくことを目指す。

次年度使用額が生じた理由

平成27年度では平成26年度に引き続き、培養細胞を用いた解析で進展が見られた。平成28年度ではその分動物実験の比率が上昇し、より多くの費用が必要と見込まれるため、次年度使用額が発生している。

次年度使用額の使用計画

上述のように、平成28年度にはこれまで培養細胞の解析で培ってきた知見を活かして、動物実験などを通してNRXによる代謝経路制御の、その医学・生物学的意義を明らかにする。これまで明らかにしてきた結果を活用することで、期間内に十分な結論を得ることができると想定される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] The Mg2+ transporter CNNM4 regulates sperm Ca2+ homeostasis and it is essential for reproduction.2016

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki D, Miyata H, Funato Y, Fujihara Y, Ikawa M, Miki H.
    • 雑誌名

      J Cell Sci

      巻: - ページ: in press

    • DOI

      10.1242/jcs.182220

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] CNNM4によるMg2+排出は細胞のエネルギー状態を制御することでがん悪性化を防ぐ2015

    • 著者名/発表者名
      船戸洋佑、山崎大輔、三木裕明
    • 学会等名
      BMB2015
    • 発表場所
      神戸ポートアイランド
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04

URL: 

公開日: 2017-01-06  

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