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2016 年度 実施状況報告書

nucleoredoxinによるグルコース代謝経路の制御

研究課題

研究課題/領域番号 26460364
研究機関大阪大学

研究代表者

船戸 洋佑  大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (60505775)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワードNRX / 活性酸素
研究実績の概要

本研究ではチオレドキシンファミリーに属するnucleoredoxin(NRX)によるグルコース代謝経路の制御機構と、その医学生物学的重要性を明らかにすることを目的と定めている。平成27年度のメタボローム解析の結果からNRXの欠損によるペントースリン酸経路の活性化が示唆されたことを踏まえ、平成28年度の研究ではペントースリン酸経路の代表的な役割の一つである、活性酸素種に対する耐性の獲得の有無について調べた。野生型、およびNRX欠損マウスよりそれぞれ採取、樹立したマウス胚性線維芽細胞(MEF)を1 mMの過酸化水素で処理し、その後3時間おきにゲノムDNAを採取し、電気泳動を行うことでDNA断片化の度合いを調べた。その結果、野生型マウス由来のMEFでは過酸化水素処理後9時間からDNAの断片化が顕著に観察された一方、NRX欠損マウス由来のMEFでは過酸化水素処理後9時間の段階では断片化は見られず、また12時間後のDNA断片化の度合いも野生型マウス由来のMEFと比べて有意に抑えられていた。また、過酸化水素処理後9時間の細胞を用いたコメットアッセイ法でも、NRX欠損マウス由来のMEFではテイルを有する細胞の割合や、それぞれのテイルの長さが野生型MEFと比べて短くなっていた。これらの実験結果はいずれもNRXの欠損により過酸化水素に対する耐性が高まっていることを示唆しており、昨年度までの結果と併せてNRXの欠損はPFKの活性低下とペントースリン酸経路の亢進により、活性酸素種に対する抵抗性を付与していると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの3年間の研究により、NRXがPFKの活性制御を介してペントースリン酸経路を調節しすることで、酸化ストレスに対する抵抗性に関与することを明らかにできた。これは研究当初の目的をおおむね満たすものである。

今後の研究の推進方策

メタボローム解析ではセリン代謝経路など他の代謝経路の働きもNRX欠損によって変化している可能性が示唆されており、この結果をさらに追求することで、NRXによる代謝全般への影響をより包括的に理解できると考えられ、今後はこの点についてより詳細な解析を行う。また、NRX欠損マウスとp53欠損マウスとの交配によって作出した二重欠損マウスの経過観察を行い、結論を出す。

次年度使用額が生じた理由

マウスを用いた実験で一部予想以上に時間を要している。また、メタボローム解析の結果よりいくつか新たなことが判明しており、この結果について追究することで当該研究の目的をより精緻に達成できると考えられ、研究を予定より一年延長して行うこととした。

次年度使用額の使用計画

メタボローム解析より判明してきたセリン代謝経路との関わりについて詳細な解析を行うほか、NRX・p53両欠損マウスについても経過観察を行い、結論を得る。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Renal function of cyclin M2 Mg2+ transporter maintains blood pressure.2017

    • 著者名/発表者名
      Funato Y, Yamazaki D, Miki H.
    • 雑誌名

      J Hypertens.

      巻: 35 ページ: 585-592

    • DOI

      10.1097/HJH.0000000000001211

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Phosphocysteine in the PRL-CNNM pathway mediates magnesium homeostasis.2016

    • 著者名/発表者名
      Gulerez I, Funato Y, Wu H, Yang M, Kozlov G, Miki H, Gehring K.
    • 雑誌名

      EMBO Rep.

      巻: 17 ページ: 1890-1900

    • 査読あり / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Mg2+ Extrusion from Intestinal Epithelia by CNNM Proteins Is Essential for Gonadogenesis via AMPK-TORC1 Signaling in Caenorhabditis elegans.2016

    • 著者名/発表者名
      Ishii T, Funato Y, Hashizume O, Yamazaki D, Hirata Y, Nishiwaki K, Kono N, Arai H, Miki H.
    • 雑誌名

      PLoS Genet.

      巻: 12 ページ: e1006276

    • DOI

      10.1371/journal.pgen.1006276

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Complementary role of CNNM2 in sperm motility and Ca(2+) influx during capacitation.2016

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki D, Funato Y, Miyata H, Ikawa M, Miki H.
    • 雑誌名

      Biochem Biophys Res Commun.

      巻: 474 ページ: 441-446

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2016.05.001

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] The Mg2+ transporter CNNM4 regulates sperm Ca2+ homeostasis and is essential for reproduction.2016

    • 著者名/発表者名
      Yamazaki D, Miyata H, Funato Y, Fujihara Y, Ikawa M, Miki H.
    • 雑誌名

      J Cell Sci.

      巻: 129 ページ: 1940-1949

    • DOI

      10.1242/jcs.182220

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] PRLは細胞競合の悪用により上皮細胞の浸潤を促す2016

    • 著者名/発表者名
      船戸 洋佑、山崎 大輔、三木 裕明
    • 学会等名
      第39回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2016-11-30
  • [学会発表] PRLによる細胞内Mg2+量の調節とその破綻によるがん悪性化2016

    • 著者名/発表者名
      船戸 洋佑、山崎 大輔、三木 裕明
    • 学会等名
      第89回日本生化学会大会
    • 発表場所
      仙台国際センター
    • 年月日
      2016-09-27
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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